第14話 忘却の彼方



エリアス「そういえば・・・2号どこ行っちゃったんだろ・・・」


ソル「ああ・・・あのカエル・・・」



フロッグ君2号。

乗り心地の悪さが凄まじいのである。


エリアスとリーフは快適だといっていたが。




ソル「確かに何処に行ったんだろうな?」





その頃・・・


エアー「残りは合計4人のようだな・・・」



残るはボルト、ウイング、フォルス、そしてソルの仲間の方はスライサー。



ボルトとスライサーが一緒にいる。


では、残りのウイングとフォルスは・・・?




・・・



フォルス「・・・ここは・・・」


フォルスの目の前には廃墟が広がっていた。


だが、最近壊されたような物ではない。

それに、これには見覚えがあった・・・



ウイング「う・・・うう・・・」


フォルス「・・・?
     ウイングか・・・おい、起きろ。」


ウイング「・・・?
     あれ、ここどこ?」



フォルス「・・・ここは・・・
     ここは俺とライト、そしてエリアスの故郷だ・・・」





かつてライト、エリアス、フォルスの3人が住んでおり・・・

そして、壊され、消え去った街。



それがこの廃墟である。



フォルス「・・・こんな所に来てしまうなんてな・・・」


ウイング「・・・辛い過去を思い出すの?」

フォルス「いや?
     むしろなつかしいってだけさ。
     確かに家族も故郷も無くした、
     だけどそれから俺の物語が始まった・・・
     あのままだったら平凡な人生を過ごしただけだっただろうな・・・」




そう言うと、フォルスはその廃墟へと入っていった。



フォルス「ここだったな・・・」


1つの家の跡の前でフォルスは立ち止まった。

ウイング「・・・?」

フォルス「ここが・・・かつてライトが住んでいた家の所だ。」




フォルスは、感慨深そうに見ていた。


フォルス「・・・何か残ってるかな・・・」



瓦礫に埋もれたかつての街。

フォルスはその瓦礫をどかしてみた。すると・・・



フォルス「・・・銃?
     それに・・・双剣?」



武器が出てきた。


ウイング「・・・?」

フォルス「なんだ・・・?
     あいつの親が使ってたものか?」



ウイング「なにか・・・感じる・・・
     これから・・・」


フォルス「・・・確かに。
     魂とかそんなもんじゃなさそうだが・・・なにかあるな。
     それに、これ・・・手入れすればまだ使えそうだ。
     何年間ここにあったか分からないのに・・・」


謎の銃と双剣・・・


意味が分からない。





その時。


カルテット「その問いにお答えしましょうか?」




フォルス「!?」


ウイング「だ、誰!?」



そこにはカルテットがいた。

だが当然この2人はカルテットの事は知らない。




フォルス「翼・・・輪・・・
     あの街で襲ってきた連中に似ているな・・・」


カルテット「落ち着いてください。
      私は彼らとは違います。」


フォルス「・・・本当か?」



カルテット「ええ。私はカルテット。
      反乱軍です。」

ウイング「反乱軍?」


カルテット「近頃襲撃を繰り返している天使達に対して対抗すべく作られた集団です。」


フォルス「・・・偽りの無い感じがするな。
     敵の敵は味方、という事か・・・

     で、問いに答えると言うのは?」



カルテット「ライト・・・それはもしかして「ブレード」の事ですか?」



フォルス「・・・知っているのか?」



ライトの本名、それが「ブレード」である。

ライトと言うのは、かつて・・・彼の義理の兄、ヤイバがつけた名前である。



カルテット「合っているんですね?
      だったら確定です。」


フォルス「・・・何を知っている?」





カルテット「確かこの街にいた2人の夫婦を私は助けました。
      その、ブレードの両親です。」




唐突に言い渡された言葉。



ライトの両親が・・・生きている?




フォルス「な、何だと!?
     あいつの両親は・・・死んでいないのか!?」


カルテット「ええ。
      突然で信じられないかもしれませんが・・・
      私はその2人を時の力で若返らました。」

フォルス「時の力・・・?」




カルテット「はい。
      その2人は重要な人な気がしましたので・・・
      誠に勝手ながら、記憶をある程度消去して年齢退行させました。」


フォルス「・・・記憶消去か・・・
     だったら生きていても変わらないな・・・」




カルテット「その銃と双剣はかつて
      『永遠の翼』と呼ばれた女性と『紅の双剣士』と呼ばれた男性の使っていた物です。
      いわゆる、ブレードの両親です。」



フォルス「そんな異名が・・・」

ウイング「わたしの名前も「翼」って意味だよ?」

フォルス「それは関係ないだろう・・・」




カルテット「私はその後、
      既に死んでいたその2人の両親をよみがえらせ、2人を預けました。
      決して死なせないように、と・・・

      自分でも何であんな事したのか分かりません。
      記憶を消す必要も若返らせる必要も無いように後々思いました。」


フォルス「助けるだけなら必要ないだろうな・・・」



ウイング「その後、どうなったの?」



カルテット「その2人はその後結局また会ったようです。
      ですが・・・『紅の双剣士』は今はこの世にいません」

フォルス「じゃあ、『永遠の翼』は生きているのか。」


カルテット「探してみるのもいいでしょう。
      せっかくだから教えておきましょう。」


ウイング「何処にいるかを、教えてくれるの?」



カルテット「・・・『紅の双剣士』についてだけですよ。」


フォルス「そうか。
     で、誰なんだ?」





カルテットは、フォルスとウイングにそれを告げた。


それを聞くと、フォルスは驚きの表情をあらわにした。




フォルス「なっ・・・!?」


カルテット「さて、『永遠の翼』を探すのをがんばってください、と言いたい所ですが・・・
      あなたの仲間が待っていますよ・・・」


フォルス「・・・」


カルテット「ブレード・・・今はライトと名乗っている彼が・・・
      私達の本部であなた達を待っています。」



ウイング「・・・そこにみんないるの?」


カルテット「ええ。来てください。」







反乱軍本部




ライト「フォルス!ウイング!!
    お前らも無事だったんだな!?
    これで残るはボルトだけか!!」



フォルス「・・・ライト・・・」


ライト「・・・?
    ど、どうしたんだ?
    何か暗いぞ・・・?」


フォルス「い、いや・・・何でもない・・・

     『紅の双剣士』・・・少し考えれば楽に分かったじゃないか・・・」


ライト「?」


フォルス「何でも・・・ないんだ・・・」




ウイング「・・・あの話、信じられるの?」


フォルス「・・・信じるには筋道が通り過ぎているし出来すぎている気もする・・・
     まるでただの下手な作り話のようだ・・・
     だけど俺はそれは本当なんだと感じる・・・
     確かに・・・そうだ・・・」


ウイング「そ、そうなんだ・・・」



フォルス「・・・ライトには、伝えるのは少し憚られるな・・・
     喋るなよ・・・?」


ウイング「う、うん・・・」





フォルス「それに・・・もしかしたら・・・」