第15話 スピードの弱き心 カルテット「運命というのはすごいものですね・・・ かつて助けた夫婦の息子があのライト・・・ これも、運命なのでしょうか・・・?」 さて。 全員集合まではあと少し。残るは2人である。 その2人は。 ボルト「・・・また廃墟だ・・・」 スライサー「・・・主要都市がことごとく壊滅させられているっていうのか・・・?」 彼らが訪れたのは、センクレイスの隣の国の王都だった。 だが、そこも廃墟と化していたのである。 スライサー「いくらなんでもここまで予想してはいなかったな・・・ 行く先行く先廃墟だらけ・・・ どうしろって言うんだ?」 ボルト「・・・こんなにたくさんの命が・・・」 スライサー「・・・念のため、生き残りでも探すか・・・ この前みたいに厄介事になったらきついが・・・ それでも・・・!?」 スライサーは突然太刀を抜き、背後からの攻撃を受け止めた!! ボルト「な、何だ!?」 ??「お前達の・・・お前達の仕業か!?」 1人の青年が、剣を持ち攻撃を仕掛けてきていた・・・ スライサー「・・・何の事だ?」 ??「何もかもを壊して!! みんな殺して!! それで何の事だ、だと!?」 ボルト「はぁ!?」 ??「許さない・・・許さない!!」 スライサー「よく分からんが・・・怒りに我を忘れているようだ。 一旦止める、話はそれからだ!! 「居合・紅牙」!!」 ボルト「・・・もしかしてあいつ1人で凄まじい種類の攻撃を持ってるんじゃ?」 スライサー「(だが・・・相手も剣士か・・・ だとしたら相手も「居合」を使ってくるかもしれない・・・そう、」 ??「「居合・滅却」!!」 スライサー「剣士の数だけあるようなものだからな・・・」 2つの刃がぶつかり合い、音が響く!! スライサー「重い一撃だ・・・!! だが、まだ甘い!!」 スライサーは即座に相手の剣の下にもぐりこむと・・・ ??「!?」 スライサー「剣士が剣だけに頼るのは大間違いだ!!」 片手を地面に叩きつけると、そのまま体を浮かせ・・・ ??「!!」 1回転、蹴りを食らわせた。 ??「くっ!!」 スライサー「そして・・・」 太刀を相手の首筋に突きつける。 勝負は決した。 ??「・・・くそっ・・・」 スライサー「まずは落ち着いて欲しい。 俺達はこんな事やっていないぞ・・・」 ??「・・・」 スライサーは、太刀をしまい、事情を語った。 ??「そ、そうだったのか・・・すまない。 僕、少し・・・というかかなり気がたちすぎてたみたいだ・・・」 ボルト「まあ・・・しょうがない事ではあるけど・・・」 スライサー「気にするな、分かってくれればそれでいい。 おそらくここを襲ったのも天使だな・・・ 全く、どれだけ多くの場所でやっているのか・・・」 ボルト「やばいんじゃないか・・・?これ・・・」 ??「ちょっと・・・もし、その天使と戦っているんだったら・・・ 僕にもちょっと協力させてくれないか・・・?」 スライサー「・・・協力してもらうのに許可は必要ないと、俺は思ってる。」 ボルト「まあ、数は大いに越した事は無いよな?」 スライサー「いや、そういうわけじゃない。 こいつは強い・・・」 ボルト「え・・・分かるのか?」 スライサー「一度剣を交えれば相手の強さは大体分かる。 これぐらいの強さがあるなら奴等と戦っても大丈夫だろう・・・」 ボルト「奴等の強さは分かるのか?」 スライサー「いや、詳しくは分からないが・・・ まあ、予測だ・・・」 ??「じゃあ・・・ついていくからな!!」 ボルト「あ、ああ・・・ ところでお前誰だよ・・・」 ??「あ、そういえば。 僕は焔火、紅蓮 焔火だ!!」 ボルト「初めてのフルネーム。」 スライサー「そうなのか・・・」 焔火「という訳で、早く行こう!」 スライサー「そうだな、行動は先手が有利だ・・・」 ボルト「・・・何処に行くと?」 スライサー「そうだな・・・まあ、まずは仲間探しから・・・」 ボルト「それやってまだ誰とも合流できてないんだよな・・・」 焔火「仲間探し?」 スライサー「ああ・・・」 ボルト「だけど誰とも会えてない。」 焔火「そうなのか・・・」 そこから少し離れた地点 スピード「グランド・フォース、残りの1人・・・奴等と接触してしまったらしい。」 ギガ「どうせまたザコだろうが!!」 グランディア「いや、あの焔火という奴からはこの前の出オチ野郎とは違うようだ・・・ 何としてでもこちら側につけないといけない・・・」 スピード「・・・出オチ野郎・・・」 ギガ「だが、どうする気だ。」 スピード「奴はどうやら俺達に相当な敵意を持っているようだ・・・ 出てもすぐ戦闘になるだけなはずだが・・・?」 グランディア「くくく・・・奴を利用させてもらうのさ。 一度天空へと戻るぞ・・・話はそれからだ。」 そして天空・・・ グランディア達は1つの巨大な扉の前にいた。 スピード「一体、誰の事を言っていた・・・?」 グランディア「それは・・・こいつだ・・・」 グランディアは、1つの扉を開けた。 音を立て、ゆっくりと開く扉。 そしてその先にいたのは・・・ スピード「ミ、ミラージュ・・・?」 ミラージュ、と呼ばれたその天使は、突如入ってきた3人を見た。 ミラージュ「・・・何の用だ、 自分ではこれ以上何もしたくない、何も・・・」 グランディア「そう言ってくれるな、貴様にやってもらわないと困る・・・」 ミラージュ「・・・グランディア、この自分をまた都合よく利用する気か。 もうこりごりなんだよ、お前達は・・・」 スピード「おい・・・グランディア、一体何を・・・?」 ギガ「想像がつかないが・・・」 グランディア「幻を作り出す、こいつの力が必要だ・・・」 ミラージュは、幻影を作り出すことが出来る天使である。 しかもその幻影を実体化させる事も出来るのである。 ミラージュ「・・・地上の生物を無闇に虐殺するためにこの力がある訳ではない・・・ この世界を更なる希望、そして平和に導くためにこの力はある・・・!!」 グランディア「いや、虐殺のための力だ。 我等天使は地上の生物を守るのではない!! 地上の生物を全て消し去り、完全なる天使の世界を作るためにある!!」 ミラージュ「・・・クレイジーだな・・・ そうして天使だけにして何の意味がある? そっちの方がよほどどうしようもない世界じゃないのか・・・?」 グランディア「・・・どうしても協力しない気か・・・? なら、貴様のかつての故郷を今から破壊してやろう・・・!!」 スピード「(・・・ミラージュのかつての故郷?)」 ミラージュ「・・・何だと・・・?」 グランディア「それが嫌なら素直に従う事だな。」 ミラージュ「・・・」 ミラージュは立ち上がり、その場所から外に出た。 スピード「・・・」 ミラージュ「・・・何で・・・こんな事を・・・」 ミラージュはさりげなくスピードを見た。 何かを訴えるような目だった。 スピード「(・・・あの時、姉さんが殺された時・・・ 一緒にいたこいつも重症を負っていた・・・ もしかしたら・・・) グランディア、悪い。俺は天空で待っていてもいいか?」 グランディア「ん・・・? まあ、いいだろう。 さて、いくぞ・・・」 ミラージュ「・・・自分の力じゃ、真実は幻のままになってしまう・・・」 ギガ「・・・?」 そして・・・ ボルト「はあ、何処にいきゃいいんだろうな・・・」 スライサー「さあ、な・・・」 焔火「・・・」 ???「おい、そこの・・・」 ボルト「ん?」 その先には1人の天使がいた。 エアーである。 焔火「・・・!! 天使!!」 エアー「天使で悪かったな・・・ さて・・・」 エアーは、ボルト達に近づいた・・・ その頃、天空にある1つの部屋で・・・ スピード「・・・人間のせいで姉さんは死んだんだ・・・ だったら、人間なんて生きてる価値は無い・・・!! 長い間、そう信じてきた・・・」 ため息をつきながら、スピードは独り言をつぶやいていた。 スピード「その意見を変えるつもりはなかった・・・ 人間を大量に殺した直後だし・・・ はっきり言ってこれが正しいんだと思っている・・・ だけど、最近、何かがおかしい気がしてきた・・・」 天空でも、まだ上に広がるその空を見て・・・ スピード「俺がやっているのは復讐・・・ だが、それで人を殺せば、ソルと言った・・・奴のように、 また新たなる復讐が始まってしまう・・・そして狙われるのは俺だ・・・ 復讐は結局何の意味も無いんじゃないか・・・?」 ???????「どうしたんだよ、そんな暗い顔して!!」 そこに他の天使が入ってきた。 スピード「オーバースカイか・・・」 オーバースカイ。空を司る天使である。 オーバースカイ「一体何落ち込んでんだ?」 スピード「なあ・・・俺のやってる事って間違ってるか?」 オーバースカイ「え? な、何言ってんだ。 お前、いつも人間は生きる価値がない、とか、 地上の生物を消し去る事が必要だ、とか堂々と言ってるだろ。」 スピード「ああ、そうだな・・・ だけど・・・封印されてた間に考えてたんだ・・・ 本当に正しいのか、とか・・・ 俺は今、堂々と言う事によって自分をだましているのに過ぎないんだ・・・」 オーバースカイ「・・・じゃあやめればいいんじゃないか?」 スピード「そうかもしれない・・・ 姉さんが殺された時は俺も怒りで我を忘れていたが・・・ 今はだいぶ落ち着いた・・・ もう復讐とかそんなのなんてやる意味ないんだろうな・・・」 オーバースカイ「じゃあとっととやめればいいのに・・・」 スピード「俺は自分の感情を外には出さない。 誰も気付かなかっただろう? 俺がこんな事考えてるなんて」 オーバースカイ「全くそれっぽい事は無かったんだけど・・・」 スピード「ああ。絶対に分からないように振舞っていたからな。」 オーバースカイ「じゃあ、お前は実はもう考えは改めていたっていうのか!? 何で・・・」 スピード「だけど俺は今でも積極的に人間を殺す・・・ 何でか分かるか?」 オーバースカイ「そんなの知らないけど・・・」 スピード「理由は3つ・・・ 1つ目は、もう戻る事が出来ないが故、だ。 今更やめてどうにかなる訳でもない。 2つ目、自分の行動を無理矢理にでも正当化しないと、 はっきりいって耐えられない。 そして3つ目・・・これが問題でね・・・」 オーバースカイ「・・・?」 スピード「グランディアだ・・・ 知っているか・・・?奴は・・・」 それから4日経過した・・・ ライト「それにしても・・・もう少しだけどなかなか揃わないな・・・」 ソル「気楽に待てば全員集まるさ。」 フォルス「・・・」 ウイング「まだ・・・考えてるの?」 フォルス「ああ・・・」 ボルテージ「生意気な口を利きやがって!!」 ブルームーン「そりゃどっちだ!! ぶっ飛ばすぞ!?」 ダークネス「お茶漬け食いたい・・・」 カルテット「ステーキ食べたいですね・・・後、サラダがついていれば完璧です。」 エメリア「・・・」 ウィンド「なあ・・・お前実は何もあいつらに話す気無いだろ・・・」 スピア「いやそれは無いって・・・まだまだだって。」 エアー「・・・」 スピア「お、戻ってきた。 ・・・ん? 誰も連れてきてないのか?」 エアー「いないのは・・・ボルト、と、スライサー、だったな・・・?」 ライト「ん?ああ。いないのは・・・」 エアー「・・・まずい事になったようだ・・・」 ソル「!? ま、まさかあいつに何かあったのか・・・!?」 エアー「・・・落ち着いて、聞くといい・・・ ほんの少しだけの話だが、な・・・」 それは・・・ エアー「見つけたぞ・・・お前が、ボルトと、スライサーか・・・?」 ボルト「てめええええええ!!!!」 エアー「!?」 それと同時に、スライサーがエアーに鋭い斬撃を放った・・・ スライサー「・・・」 エアー「・・・!? 待て・・・!! 俺は奴等とは違う・・・!!」 ボルト「・・・自分で襲っておきながら都合よく言う気か!? ふざけるな!!」 エアー「・・・? 何を誤解しているか知らないが・・・俺は街を壊してもいなければ 人も殺しちゃいないが・・・」 スライサー「・・・さっき自分で言った事を裏返すのか・・・?」 エアー「・・・どういう事だ? 俺がお前達を見たのはこれが初めて・・・」 ボルト「全部、騙された・・・!! お前らのせいだったんだな!?」 エアー「だから、何度違うといえば・・・!!」 ボルト「問答無用だ!! くそっ・・・死にやがれえええええええ!!」 エアー「訳が分からなかった・・・ 奴等は俺を見たことのあるかのように・・・ それに、全部俺のせいだと・・・」 スピア「・・・何だっていうんだ? 確かそんな何かぶっ潰すとかなんてした事無いんだが・・・」 ライト「お前説得力無い。 だけど・・・何でボルトが・・・」 カルテット「なるほど・・・どうやら、初対面なのに、相手は自分の事を知っていた、と・・・ それでなおかつ、意味の分からない誤解をされ、話を聞いてもらうことすら出来なかった・・・ 確かに、天使というだけで攻撃対象になる可能性はありますが・・・ 前半はおかしいですね・・・」 ダークネス「初対面なのに相手はこっちを知っていたって・・・ 在り得ない話だが・・・」 スピア「・・・よく分からないが、!? ・・・この感じ・・・」 カルテット「どうか、しましたか?」 スピア「・・・誰も外に出るなよ?」 そういうと、スピアは、外へと向かっていった。 ボルテージ「何だ何だ?」 ウィンド「まさか・・・スピード!?」 エアー「感づかれたか・・・!? だが、こんな唐突なタイミングで・・・!!」 外 スピア「スピード・・・まさかここをかぎつけてくるなんて・・・!!」 スピード「・・・」 スピア「だが・・・今度こそ俺はお前を・・・」 スピード「・・・俺は間違っている」 スピア「倒す・・・? い、いきなり何を・・・」 スピード「俺は・・・死ぬ気は無い。負ける気も無い。 だけど、何かが違う・・・」 スピア「い、いきなり何かは知らんが、 とにかく・・・今度こそ決着をつけてやる!!覚悟しろ!!」 スピード「・・・今日は俺は何もやる気がしない。 殺したいなら今なら大チャンスかもな・・・」 スピア「って・・・ だからいきなり何なんだって!! 意味わかんねぇよ・・・何のつもりだ!?」 スピード「・・・グランディアの行動に細心の注意をする事だな。 幻影に用心するといい。 仲間の絆を断ち切られないように・・・ 命の絆を切られないように・・・ 大切な者を失ってしまえば、誰だって俺のように暴走してしまう」 スピア「・・・だから、何を・・・」 スピード「・・・半月前の俺はただ無常に殺戮を繰り返していた・・・ だが、今になって気付いた・・・遅すぎた・・・後悔する間も与えさせてもらえない・・・ 許してもらうには罪が重すぎる・・・」 スピア「いや、だから何だって!! なんでこの前まで殺す気マンマンだった奴が今日になっていきなりそうなってんだ!? 唐突過ぎて戸惑うぞ!?」 スピード「・・・ちょっと、聞いてもらっていいか・・・?」 スピア「・・・?」 スピードは、いきなり語りだした・・・ スピアは、ただ聞くしか選択肢は無いと思った・・・ スピードは、スピアにとって因縁の相手。 過去何度もの敗北を経験している。 それに、仲間に危害を加えた事もある。 絶対に許せない相手であるはずだ。 だが同時にスピアはスピードの事を知っていた。