第21話 神剣・氷剣クラウソナス


ライト「・・・あいつは・・・
    いや、気にしていても仕方ない、神剣の残りのを探さないと・・・」






フォルス「・・・かつて見たのと一緒だった・・・」

ウイング「え・・・?」


フォルス「・・・ライトの父親さ・・・
     多分あの赤髪・・・」






その日の夜


エアー「・・・持ち主しかその剣を使えない、というのは盲点だった・・・
    なら、まだ持ち主のいない他の神剣を探さなければいけない。
    明日から総員で探索に入る!!」


ライト「俺達もだよな?」


エアー「もちろん、協力してもらう。」




という訳で


ウイング「でもどうするの?」

ライト「うーん、まあそりゃ問題だがな・・・
    他の世界にあるって可能性はあるのか・・・?」



スピア「ああ、それは有りうる。
    少なくともこの空間の中、だがな・・・」


ライト「空間?」



スピア「空間・・・それは、世界を取り巻くもの。
    空間の中に複数の世界がある。
    そして、時空の中に複数の空間がある。
    そうやってこの地は構成されているのさ。」


ライト「へぇ・・・」


スピア「この世界とポケモンの世界は同空間だ、
    だからあっちにある可能性もある。」






エアー「・・・?
    そんな事を知っているのか?
    その2つの世界が同空間だという事は知らなかったが・・・」


ライト「え?」




スピア「あ・・・
    あ、ま、まあ俺はこういうのには詳しいから。」



エアー「・・・」





ライト「じゃあ俺達はポケモンの世界に行って調べてみようぜ!!」


フリーズ「そうだな・・・あっちの世界にあるならば敵に見つけられる可能性が低いな・・・」





ソル「・・・俺達どうする?」

ブルームーン「・・・さあ・・・」


ダークネス「お前ら2人は俺と一緒に来い。
      お前らだけじゃ大陸の外に出られないはずだからな。」



ソル「そりゃ飛べないし。」



ダークネス「っつー訳で来いよ!!」


エアー「さて・・・全員に1つ、連絡機を渡しておく。
    連絡を取り合えれば、よりスムーズに捜索できるはずだ・・・」



全員がその連絡機を受け取った。


エアー「感度は世界全国届くぞ・・・
    別世界にも届く・・・」




高性能だ。



そんな訳で神剣探しが始まったのである。


しかし、捜索は難行するかに思えた・・・





だが。




ポケモンの世界、リバース基地周辺



ライト「お、おい!!
    神剣についての本があったらしくて・・・
    神剣の名前と見た目が分かった!!」



フリーズ「・・・早いな。
     どんなのがあった・・・?」



ライト「えっと・・・この前も話に出たエクスカリバー、ラグナロク、村雨の他に・・・
    デュランダル、フラガラッハ、バルムンク、ダーインスレイヴ、
    カリバーン、クラウソナス、グラム、そしてミスティルテイン!!
    これで全部だ!!」


フォルス「13の神剣、か・・・
     だがその情報だけで見つかるか・・・」




フリーズ「クラウソナス・・・?」


ボルテージ「お、おい。どうした?
      そこだけに食いついて・・・」


エリアス「心当たりあるの?」





フリーズ「クラウソナス・・・
     それって・・・
     それって、かつて俺がポケモンの世界に行く前に使っていた、氷の剣・・・!!」



ライト「な、なんだってぇ!?」


フォルス「なんか・・・簡単に見つかるな・・・」



フリーズ「・・・俺はポケモンの世界に行く前、
     ある都市の貧困街にいた・・・」







その街は貧富の差が激しく、フリーズは特に最底辺にいた。


フリーズは家どころか何も無かった。


ボロボロの服と、その剣だけが手持ちだった。


だが、その剣はどれだけ使おうと傷つく事は無く、蒼く輝いていた・・・




ある日。


マフィアA「おいおいそこのガキィ、その高価そうな剣を渡しやがれぇ!!」


マフィアB「さもなくば・・・死ぬぜぇ!?」




フリーズ「・・・触れれるもんなら触れてみろよ・・・
     この剣を持てるならくれてやる・・・」



マフィアA「おお!?
      やたら聞き分けのいいガキだな・・・よこせ!!」



剣を奪うようにとった、その瞬間!!



マフィアA「ふふ・・・ふ・・・!?
      な、何だ!!
      か、体が凍っていく!!
      ぐ、ぐわあああああああ!!」



フリーズ「・・・それぐらいにしろ、クラウソナス。」



すると氷は溶けた・・・










フリーズ「確かに、よく考えればその特徴と合う・・・
     あれが・・・神剣・・・」


ライト「それ、何処で手に入れたんだ?」



フリーズ「・・・いや・・・
     物心ついた頃には持ってた・・・
     それと同じ頃には親はいなかったし・・・
     渡された記憶も無い・・・
     俺はあの剣と共に育った・・・」


フォルス「今・・・何処にあるんだ?」



フリーズ「・・・分からない。
     ポケモンの世界に来た直後に・・・無くした・・・
     だけど、探すなら・・・すぐ探せるはずだ・・・
     俺の「フィールドセンサー」には特殊に感じる物がある。

     それがその剣だから、だ・・・」



ライト「ら、楽に見つかりそうだ・・・」



フリーズ「・・・
     ・・・・・・
     ・・・・・・・・・分かった。」


エリアス「早いね・・・」





フリーズ「案外近くにあるな・・・南の方にある・・・
     ・・・神殿みたいだ・・・」



ウイング「でも、それってあまり範囲広くないんじゃ・・・
     この近くに神殿なんて・・・」




フリーズ「いや、あの剣の事だけなら分かる。
     それにその剣の周囲の環境も分かる・・・
     これで、大丈夫だな・・・」






謎の神殿


ライト「本当に近い・・・」


フリーズ「言っただろう?
     っと・・・あと少しで着くぞ・・・
     クラウソナスの・・・ある場所へ・・・」




フォルス「だが・・・無くした物がなぜこんな神殿の中に?」



エリアス「昔ここにあって、人間の世界に運ばれて、
     それで、持ち主と離れてからここに戻ったんじゃない?不思議な力で!!」

フォルス「何でもそれで片付けられれば、な・・・」





フリーズ「・・・あれだ。
     台座に刺さっているな・・・」



案外あっさり、その剣は見つかった。




ライト「・・・あ・・・
    確かに、あの本の写真と一致してる・・・」


ボルテージ「すげぇな。
      これだったらすぐに全部見つかりそうだな!!幸先いいぜ!!」


ライト「そうだ、あの連絡機で他の場所にいるスピアとウィンドにも連絡を・・・」




フリーズ「そうだな・・・
     ・・・・・・久しぶりに・・・」




するとその時、その剣の周りに強烈な冷気が集まり始めた!!



フォルス「・・・!?
     何か・・・来る!?」



ライト「あ、あれ?
    何か簡単じゃない雰囲気か?」







????????「久しぶりじゃないか・・・フリーズ・・・」



フリーズ「・・・まあ、な。」



ライト「え・・・ま、まさか、剣に・・・精神でもあるのか?」

フォルス「厳格そうな・・・」




????????「ん?
       何だ?剣に精神があっちゃいけないのかい?
       そういう頭の固い奴は柱の角に頭でも打ってぶっ倒れてろ!!」




ライト・ボルテージ・フォルス「!?
               な、何だこいつ!!」




フリーズ「調子に乗るな。」



????????「ん・・・ああ・・・
       羽目をはずしたようだ。」



ウイング「・・・」



ボルテージ「・・・どこが厳格だ・・・
      調子乗ってるバカじゃねぇか・・・」



フリーズ「そんな事言うと・・・体の芯まで凍結させられるぞ・・・?」



ボルテージ「!!
      うわっ、待ってくれ!!
      勘弁してくれ!!」



????????「分かればいい、分かれば。
       で、一体何のために来た?」



フリーズ「実は・・・」




説明省略。



フリーズ「という訳だ・・・
     13の神剣を探さないといけない。」



????????「それでこの俺を?
       そりゃまた大変だな。」



ライト「(神剣が・・・これで・・・いいのか・・・)」





????????「なら、この、氷剣クラウソナスがお前達に協力しよう。
       炎剣レーヴァテインと風剣ティルヴィング・・・懐かしい。」









反乱軍本部



ライト「・・・この剣、頼りになるのか?」


フリーズ「この剣のおかげで暇は無かった・・・」



氷剣クラウソナス「俺を舐めたらいけないぜ?
         その気になれば例えばこういう事が出来る!!
         大河をまるごと凍らせたり、
         火山を完全に停止させたり、
         大きい水溜りを凍らせてスケートリンクに出来たり・・・」



フォルス「不安だ・・・最後どうでもいい・・・」



ライト「・・・まあいいや。
    じゃあこれも喋るのか?(風剣ティルヴィングを見て)」





氷剣クラウソナス「持ち主がいないと基本的には喋らない。
         まあ俺はそんなの関係なく喋るがな!!
         ついでに俺達神剣は人間の姿にもなれる。」



そういうと、クラウソナスはいきなり・・・






ボルテージ「うわっ!?
      すげぇ光・・・!!」






フリーズ「やれやれ・・・」


ライト「・・・!?
    ほ、本当に人!?」





氷剣クラウソナス「どうだ!!
         これこそが神剣の力って奴だ!!」



青髪で、クールそうに見える青年が立っている。


フォルス「・・・見た目と性格が相当違うようだな・・・」







エアー「よくこんな早くに見つけてきたな・・・
    なにやらおかしいようだが・・・」




フリーズ「すまないな。
     こいつは自重しない性格でな・・・」






スピア「今戻ったぜ・・・
    こっちは手がかりも何も無い・・・」


ウィンド「疲れた・・・」




ライト「こっちは1本見つけたけどな!!
    すごく不安だけど。」





スピア「・・・連絡で大体どれだけ不安かは分かった。
    そうなると、試してみたいのは・・・

    ティルヴィングだ・・・」




ウィンド「そういえば神剣って喋ったりするんだった・・・
     俺も知ってたけど忘れてた。

     ティルヴィング・・・」




その瞬間、風剣ティルヴィングから強烈な風が巻き起こった!!



ライト「うわっ!?
    ま、また暴走!?」


そしてその強烈な風により視界は閉ざされ・・・


風が晴れた時・・・




?????????「・・・」


ウィンド「・・・」


?????????「騒がしい・・・
          クラウソナス・・・もう少し静かにしたらどうだ・・・?」



緑色の髪をした女性が立っていた。

クラウソナスと違い、気品が漂い、いかにもそれっぽい雰囲気が出ている。


そう、風剣ティルヴィングである。




風剣ティルヴィング「お前達が、ウィンドの仲間か・・・
          なるほど、強い意志を感じる・・・ウィンドよりは強い意志を・・・」


ウィンド「って、酷いないきなり・・・」




スピア「・・・上下関係こっちの方が上っぽくないか?」





ライト「・・・まあいいや。
    これまでの特徴をまとめると
    1、剣はそれぞれの属性ごとに1本ずつある
    2、剣にはそれぞれの精神、性格があり、喋ったり、人の姿になったりする
    3、持ち主以外が使おうとすると剣の力を暴走させ、その者を破滅させようとする」





フリーズ「全く、3については厄介だからな・・・」


氷剣クラウソナス「だって面倒だからな!!」



風剣ティルヴィング「クラウソナス・・・軽い発言はほどほどに。
          そうしなければ、我等全体のイメージをそう見られてしまうではないか・・・」



ライト「もう最初のアレで俺達にはイメージが染み付いてしまった。」



風剣ティルヴィング「・・・はあ・・・」





ウィンド「お、落ち込むな!!
     俺はそんなイメージ持ってはいない!!」


風剣ティルヴィング「それはうれしいけど・・・
          でも他全員、間違ったイメージを持ってるようで・・・」





氷剣クラウソナス「はっはっはぁーーー!!」


本当に神剣か疑わしい。


はっきり言って疑わしい。


正直言って疑わしい。


だが本物だから仕方ない。




こうして彼等は一種の不安感を感じるのである。