第23話 衝撃



????「そう、俺こそが・・・
     かつて行方不明と言われていた・・・
     空間の大天使、ミカエル、だ・・・」



ダークネス「な、何だってぇ!?
      お、お前が・・・!?」



スピア・・・否、ミカエルはダークネスの反応を見てまた少し笑い、

そして今までより落ち着いている口調で喋り始めた。






ミカエル「そこまで意外か?
     ま、そりゃあ・・・行方不明だと思っていた奴が
     実はすぐそばにいて普通に話していた相手だった、って言うんだからな。
     ドッキリって奴さ。」


ダークネス「それは違うような・・・って!!
      な、なら何で隠してたんだ!?
      全くそんな素振りも無かったし・・・」



ミカエル「俺、演技は得意だから。」


前もそんな事言ってた気が。




ミカエル「いかにも一般人らしく振るまうぐらい楽勝だって。
     外見や声だけじゃ分からないだろうし。
     ま、元々より少々熱い性格っぽくしてれば全然イメージも違ってくるし、
     行方不明と言う事前情報のせいで余計に分からなくなってただろうし、な。
     とはいえ、他の演技に比べりゃ苦労したぜ。
     天使に因縁を持ち、復讐するために志願した人間役ってのは。」



ダークネス「だ、だから俺が聞きたいのは、何故隠していたかって事だ!!」




ミカエル「・・・いきなり明かしてたら、一般の奴等は俺に頼ってくるだろ?」


ダークネス「そ、そりゃ・・・」



ミカエル「俺は仲間を守る。そうしたいからする。
     だけど俺は期待とかされすぎたくない訳だ。
     しかも他人任せのままじゃ強くもならないしな。」


ダークネス「た、確かに筋が通ってない事も無いが・・・
      せめて俺達ぐらいには・・・」


ミカエル「同じ同じ、
     お前らも無駄に頼ってきたりするだろうから、な。」



ダークネス「なっ!!
      俺はそこまで弱くは・・・」


ミカエル「いいや、まだまだだと思うぜ?」



ダークネス「な、何だと!?偉そうに!!」


ミカエル「じゃ、今ここで見せてもらおうか!?」





ウィンド「お、おいおい。
     何いきなり勝負の雰囲気になってるんだ?」



ミカエル「この辺りで、どれだけ力が足りないか教えてやっておこうと思ってな。
     心配するな!!」



ダークネス「くっ、なめやがって!!
      暗黒剣!!」



ダークネスはとっさに自分の持っていた剣を引き抜くと、闇のエネルギーをミカエルに放った!!



ミカエル「・・・ま、その程度だろうな。」


ダークネス「何!?」




ミカエル「亜空よ、開け・・・暗黒を閉ざせ!!」




その時、ミカエルが何かを唱えたと同時に、その前にゲートのようなものが開いた!!




ダークネス「!?」



ミカエル「空間の、天使だから、な。亜空を開いてその中に相手や攻撃を閉じ込めたりも出来る。
     以前やった空間転移もそれさ・・・」



闇のエネルギーはその亜空に吸い込まれ、消滅してしまった。




ダークネス「あ、あの時の・・・!?」


ミカエル「ああ、あの時じゃ誰も気付かなかったようだけどな。
     ちょっとぐらい勘付いてしまうかと思ったんだが・・・」




ウィンド「あの時はお前自身使う選択肢持って無かったよな。」


ミカエル「あの時ははっきり言って忘れてた。」



ダークネス「・・・くっ。
      なら、お前の攻撃はどうだ!?」





ミカエル「分かった、見せてやる。
     これが・・・俺の力だ!!」







反乱軍本部




エアー「・・・遅いな。
    かなりの時間が経っている気がするが・・・?」



その時、空間すら超越すると専らの噂となっている以前分けられた連絡機が鳴った。




エアー「・・・?
    ダークネスからか・・・」






ダークネス「た、大変な・・・」



エアー「・・・!?
    お、おい、どうした!!」


ダークネス「強・・・い・・・」





ミカエル「聞こえるかい、エアー・・・」


エアー「!?
    ス、スピア!!
    一体何を・・・!!」



ミカエル「ちょっと、ね。
     自分の力を分からせてやったんだ。」


エアー「ま、まさか・・・!!
    裏切ったのか!?」



ミカエル「んな訳ねぇだろ?
     単にいざこざやってただけさ。」




エアー「・・・!?
    お前・・・一体・・・!!」




ミカエル「すぐ戻るから待ってな。」




そして、連絡は切れた。





エアー「な、何が・・・起きたっていうんだ・・・!?」






再び、神殿



ダークネス「・・・くそっ・・・」



ミカエル「まだまだ力不足だって事さ。
     さて、すぐ戻るっつったからさっさと戻らないと、な。」


ウィンド「・・・かなり本気じゃなかったか?」


ミカエル「ああ。」




ダークネス「お前・・・そこまで力があるんなら・・・
      グランディアとかなんて一発だろ・・・?
      何で・・・あの時・・・!!」




ミカエル「・・・あの時は仲間を巻き込む恐れがあって全力を出せなかった。
     巻き込んで仲間の命奪うのは嫌だったからな・・・」



ダークネス「・・・だが、お前は他の奴を逃がして自分1人だけ残った・・・
      その時だったら巻き込む恐れも無かっただろ!?」




ミカエル「・・・ちょっと、ね。他にも理由がある。
     確かにやろうとすればあの時終わらせる事も出来そうだったんだけど、な。
     まず、出来ればスピードは生かしておきたかった。
     後々あいつをぶっ殺すとか言った事もあったが・・・
     あれは嘘だ。俺がやりたかったのは倒す所まで、殺す気なんてさらさら無かった。
     そっちの方が協力を得やすいって思っただけさ。

     もう1つ。グランディアだ。」



ダークネス「・・・まさかあいつも殺さずにどうにかしようと考えたのか?」


ミカエル「いや?あっちは殺そうと思ったぜ。
     だけど予想しなかった事が起きた。

     それさえ無ければスピードがこっち側についた時、
     もう俺1人で攻め込もうとも思ったんだけどな。」



ダークネス「予想しなかった事・・・?」



ウィンド「そうっぽい。」


ミカエル「ああ。まさに予想しなかった事。
     ちょっと今からまたショックな事になるかもしれないけど・・・

     グランディアってもうこの世に存在しない事知ってるか?」







ダークネス「は!?
      この前しっかりといたじゃねぇか!!
      じゃああれは亡霊か何かか!?」




ミカエル「違う違う。
     グランディアの体、ってだけさ。
     あの中身は別物だ。」



ダークネス「・・・話が飛躍しすぎてて訳が分からん!!
      もうちょっと詳しく・・・!!」





ミカエル「まあ分からないかもしれないが・・・
     今はここまでしか話せない。
     これを知ったら全体的に士気が下がると思う。」



ダークネス「もったいぶりやがって・・・」



ウィンド「でも確かに知ったら一気にやる気失せると思う。
     なんっつーか・・・」






ゼウス「すぐ戻ると言ったそうじゃないか。
    もう戻らなくていいのか?」



ミカエル「あ?ああ。
     さて、じゃあそろそろ戻るとするか!!
     早く来いよ。」





ダークネス「くっ・・・話を途中ではぐらかされた・・・」




反乱軍本部




メタトロン「戻ってきましたね。
      こんな所しか出番が無いのでしばらくここに立って話してください。」


ダークネス「(かなり不運なキャラだな・・・)
      ・・・そういう訳にも行かないっぽい」




ミカエル「そういう事さ。通してくれ」



メタトロン「(・・・この力は?)」







エアー「・・・戻って、来たようだな・・・」




そこに、全員が集合していた。



ライト「スピア・・・どうしたんだ?」




ミカエル「・・・今から話すから質問ストップな。」






エアー「・・・で、お前は・・・何者かを最初に話してもらおうか。
    どうやら、普通では無いらしいな?」



ミカエル「・・・俺は、」






ボルテージ「ふあーあ、暇な話になりそうだ・・・」



ミカエル「黙れ」





空気の読めなかったボルテージは残念ながらレッドカード、一発退場です(追い出された



ミカエル「・・・俺は、空間の大天使、ミカエル・・・
     まあ・・・スピアって言うのはいわば偽名だ。」



ほぼ全員「何だって!?」




フォルス「・・・ただ強いだけという訳でも無かったのか・・・」





スピード「・・・ミカエル・・・」



ミカエル「まあ・・・お前はうっすら勘付いてたはず・・・いや、もう分かってたか?」




スピード「・・・」





ミカエル「・・・俺はかつてグランディアと戦った。」






その時の事・・・


ミカエル「今の状況がいつまでも変わらないなら・・・俺は世界を守るため、
     そして仲間を守るためにもお前達を殺す・・・!!」


グランディア「ふん、綺麗事を・・・
       死ね!!貴様が消えればもはや脅威は存在しない!!
       これで・・・終わりだ!!」




グランディアは、その手から恐ろしいまでに巨大なエネルギーを放ってきた・・・!!




ミカエル「そんなの・・・効くか!!」



だが、ミカエルはそれを簡単に相殺した。




グランディア「・・・
       先程までとは違うな?」


ミカエル「当然だ。
     もう、味方を巻き込む恐れが無い。

     このまま終わらせてやる!!」





ミカエルは急速にエネルギーを集め・・・それを放とうとした!!





グランディア「・・・くっ・・・くくく・・・」



ミカエル「・・・何がおかしい?」





グランディア「貴様こそ、その程度か!!」






その時だった。



グランディアの背後に黒い何かが見えた。




そしてそれと同時に、ミカエルのそれを圧倒的に上回る力が集まりだす・・・!!





ミカエル「何!?」



グランディア「死ね!!」




そこから放たれた力は、1人を吹っ飛ばすには十分すぎた。








ミカエル「その辺りの記憶はあまりはっきり無いんだけどな。
     そして、俺は気付いたら地上に落ちていた。むしろ、堕ちていたって言うべきか?」








エアー「背後に黒い何か・・・?
    奴は闇の属性は持っていないはずだが?」



カルテット「気にかかりますね・・・何なのでしょうか?」







ボルテージ「(退場から戻ってきた)
      よく分からんけど案外誰かに操られていたりして。んな訳ねーか。」







ミカエル「その通りだ、ボルテージ・・・」





ボルテージ「へ?」







エアー「な、何だと!?
    どういう事だ!?」



ミカエル「・・・グランディアはすでにこの世にいない存在だ」





ライト「え、じゃあ・・・
    死んだ奴の体に何か入ってるって事か?」


ミカエル「多分、な・・・
     その何者かがこの事件を起こし始めた・・・
     わざわざ、天使の対立を作り出すかのように。」






ソル「・・・よく分かんないな。」


ブルームーン「理解しがたい。」





カルテット「・・・犯人は、天使に恨みを持った何者か・・・ですかね?」


フォルス「・・・天使と言う者が邪魔だったから先に消そうとしたのかもしれないが、な・・・」





ミカエル「・・・そこまではまだ分からない。
     だけど、確実にこの世界を脅かす何かがいる事は確かだ。」








ライト「・・・スケール大きすぎだろ。
    いくら俺でもここまでスケールの大きい事に巻き込まれたことは無い。」





エアー「そうか・・・分かった。色々と、な。
    どうやら、目の前にいる敵だけに全力を使い果たしてはいけないようだな・・・」



ミカエル「・・・それ以外の事はまた今度に回してくれ・・・」



エアー「いや、もう1つ聞きたい事がある。」



ミカエル「やっぱりそうなるか。」





エアー「・・・お前が今まで一番辛かった戦いを教えてもらいたい」


ミカエル「?」




エアー「・・・」


ミカエル「・・・どういう意図かは知らないが、じゃあ・・・」





それは昔、まだエアー達も存在しない遥か彼方の過去・・・