第40話 銀髪のトラップマスター!?




ラーファス城


帝国将軍「お前の仕掛けた落とし穴、予想に反して大勢引っかかるな……」


???「……」


帝国将軍「お前のような奴、皇帝様に言って帝国のNO.2まで上げてもらえそうなのにな」


???「…興味ないな。
    俺はあまり多くの人物と関わりあいたくない。」

帝国将軍「そうか、残念だな……」



???「……牢屋でも見張っていてやろう。
    普段忙しいようだからな、今休むといい……」


帝国将軍「お、おお、悪いな……」









監獄



スピア「……
    飛んで脱出する手立てだったが、穴が閉じた」



スピアはいきなり脱出不能になっていた。


スピア「世界の始まりからの生涯はここで終わるのか……はははは」






???「……ここの穴にも引っかかる奴がいたか……」


スピア「だ、誰だ?」


スピアの目線の先には、銀髪で、普通の人間とは違う雰囲気の青年が立っていた。



???「……?
    これはこれは、まさか大天使様が引っかかるとはな……」



スピア「!?
    な、何で一目で分かるんだ!?」





???「俺のトラップも大した物かもしれないな……
    まあ、設置には時間をかけ、極限までカモフラージュしておいたしな。」




スピア「お、おいお前!
    質問に答えろ!!」





???「……興味ないな、お前の質問なんて。」



スピア「何だと!?」






と、その時……



カパッ



スピア「ん?」



???「どうやらまた一人、引っかかったようだな……」




スピア「誰が……」


ウィンド「スピアアアアアアアアアアアアア!!」



スピア「落ちてくんな!!」








大きい音と共に、スピアは下敷きになった……








???「……なかなか面白い奴等だな。」




スピア「後に続いて落ちてくるなよお前!」


ウィンド「穴が開いている間に飛べばいいだろ!?」


スピア「そのためにわざわざ落ちてきたのかよお前……

    分かった、飛ぶぞ!!」



スピアは翼を出し、飛び立とうと……















スピア「ぎゃああああああああああああああああああああ!!
    挟まった! 挟まった!! 挟まったああああああああああああ!!
    翼千切れる! 体真っ二つになる!!
    誰か! 誰かあああああああああああああああ!!」





挟 ま っ た





???「愉快な奴等だな、全く……」












ガチャッ……




スピア「はぁ……はぁ……
    た、助かった……それに、出してくれるのか?」



???「捕らえられているには惜しい奴だと思ったからな。
    出してやるよ……」


スピア「あ、ああ。」


ウィンド「俺が降ってこなかったら一生出れなかったんだな。
     永遠の時間を何も考えることなく過ごしてしまったんだろうな。
     そして気付けば何も分からない。遥か彼方へと忘れ去られたんだろうな。」


スピア「ゾッとする事言わないでくれ。」





???「さて、どうやらお前らは招待状を受け取ったらしいな。」


スピア「ああ。
    来いって言われたから来てやった。」


ウィンド「俺はすごく嫌だったのに不運にも俺にも届いたため連れてこられた。」




スピア「嫌がる理由が分かんなかったからな。
    美味しい物食えるかもしれないんだぜ?
    行かなきゃ損だろ!?」




???「そっちの奴が正しかったようだな?」


スピア「まあ、来なきゃ確かに落とし穴にはまる事は……」




???「いや、この国の現状を知っているなら普通来るはずが無い」


スピア「ん……?
    今この国ってどうなってるんだ……?

    数万年前には普通の国だったがいつの間にか巨大国になってたな。」



ウィンド「数万年前で考えてたのか!?

     ラーファスといえば…超巨大軍事国として悪名高い国だ。」


スピア「超巨大軍事国?」



???「その通りだ。
    俺はここで傭兵として現状を調べている……
    この国は地獄のようだな。」


スピア「地獄…ねぇ。
    悪魔でもいるのか?」




???「悪魔、か。
    さすが天使だな……そう結び付けたか。」


ウィンド「そういえばスピア、見ず知らずの奴に今まで話さなかった事をあっさり話したのか?
     あそこで翼出したり……」


スピア「いや……一発で見破られた……
    一体何なんだって話だが、答えてもらえはしなかった」



ウィンド「……」






???「……この国の民衆は、圧制を耐え忍んでいる。
    農業で収穫した米や麦は95%近く取られてしまう。
    何をするにも見張られており、
    皇帝の悪口でも言おうものなら大衆の前でじっくり甚振り殺され晒し者だ。
    皇帝に礼をしなければ死刑、街から出ようとすれば死刑、
    兵士に逆らえば死刑、農業者は収穫が少なければ問答無用で死刑、
    例え赤ん坊でもちょっとでも癪に障るなら死刑。
    国民は毎日20時間を超える極端な労働を行わされる。
    当然少しでもサボっていれば死刑。
    まだ幼い子どもでも容赦なく重労働を行わせる。
    幼い子どもだろうが何だろうが失敗すれば即死刑。
    他の国から呼び出し捕らえた者は奴隷にして死ぬまでこき使う。
    嫌そうな素振りを少し見せただけでも死刑。

    地獄以外の何と言えばいいんだい?」




ウィンド「……言葉が出ない」



スピア「……とんでもない国だな。
    よし、ウィンド……皇帝消すぞ」


ウィンド「って、はぁ!?」



スピア「俺を呼んでしまったのが不運だな。
    そんな圧制皇帝なんざ、この城ごとぶっ潰してやる!」













外



ソル「……後を追って落ちて、戻ってこないな。」


スライサー「脱出不可能だったか?
      全く……」






エアー「ソル……ここにいたのか。」


ソル「って、うわっ!?」


ダークネス「何で驚くんだ?」


ソル「あ、お前もいたのか。」


ダークネス「酷いなお前」



スライサー「……?」



エアー「この国……何か嫌な予感がする」


ソル「そりゃ分かる。」

エアー「そうだろうな。」




スライサー「……ソル。
      どうやらその嫌な予感は完全に的中しているらしい」


ソル「?」









鎧の音。足音。


音が近づいてくる。




エアー「まさか……?」




ダークネス「ぐ、軍隊が何の用だよ!」






帝国兵士「ソル、並びに他3人。
     お前達の身柄を拘束させてもらおう」



ダークネス「他3人だと!?」

スライサー「そこはどうでもいい……」