第45話 氷の国の王女と+α




ミカエル「……プハァッ!!
     くそ……あいつら……!!」



ティルヴィング「はぁ……はぁ……大丈夫……?」


ミカエル「こっちはな……ウィンドはどうした……?」


ティルヴィング「……気を失ってる。
        生きてたのがラッキーかもしれないけど……」





ミカエル「あいつら、先回りしてやがった……
     他国に助けを求めるだろう、とは感づいてやがったか。」


ティルヴィング「……ここからどうすれば……」


ミカエル「海面からジャンプしたところで俺でも数メートルが限界だ。
     とても風に乗れる高さまで飛べない。
     翼も傷めた」


ティルヴィング「……これじゃあ間に合わない」







ミカエル「くっ……ん?
     何か船がいるぞ……」




ティルヴィング「あれも……ラーファスのだったら……」


ミカエル「……方法は1つ!!」

ティルヴィング「……奪う?」


ミカエル「その通りだ……」









ラーファス海軍兵士「な、何者だ!?」



ミカエル「悪いが、この船は頂くぜ!!
     さて、一撃だけだから暴走しないでくれよ? 頼むぜ。」


ティルヴィング「この際色々言ってる暇はないからね……」





ミカエルはティルヴィングを振りかざし、船上のラーファス兵をまとめて吹き飛ばした!!


風は船を壊さないように沿って吹き荒れた……自然には有り得ない事だ。







ミカエル「雑兵なんざに負けるわけがないな。
     さて……」



ミカエルと、再び人間の姿になったティルヴィングは船の操縦を開始した。


ウィンドは船内に寝かせた。



ミカエル「さて、この船を使えば思ったより速く行けそうだな……
     耐久性は抜群のようだしな。」


ティルヴィング「じゃあ……」






そして、吹き荒れる風と共に、船はスノークリアへと向かった……








スノークリア城前


ミカエル「最高速でかっ飛ばしたおかげで予定より更に早く着いた。」


ティルヴィング「で、どうするの?」

ミカエル「王に会う。
     まあ、今政治を行っているのはこの国の王女の方だが……」






??????「あ、呼んだ?」



ティルヴィング「え!? 誰!?」




ミカエル「おっと、いきなり出てきたか。
     っていうかどんな聴力だよ……

     こいつがこの国の王女……クリアハートだ。」


ティルヴィング「……いきなり現れるなんて……」




スノークリア王女、クリアハート。



ミカエル「本当にいきなり出てきたな。
     しかも……軍隊いるぞ。」




クリアハート「まさか君が来るなんて……
       わたしは、今からラーファスを止めに行くんだけど。」


ミカエル「何!?
     そりゃあ助かった……
     俺はそれを頼みにここまで来たんだ。
     都合が良すぎて、拍子抜けだぜ。」


ティルヴィング「(本当に……)」




クリアハート「そうなの?
       じゃあ早く行こうよ。」



ティルヴィング「……国を治めている割には、軽いんじゃないの……?」


ミカエル「この世界の王は異世界に行ってたり狂ってたり軽かったり機械マニアだったりさ。
     と……そうだ、サイバーキングダムの王にも会わないと……」



クリアハート「サイバーキングダムの王ならもうセンクレイスに向かったけど……」


ミカエル「はぁ!?
     情報の伝わりが早すぎないか!?」



クリアハート「あの国は常に他国の偵察してるから……」



ティルヴィング「(……本当に都合がいいけど……

         つまり、ラーファスはそれだけ警戒されていたという事……
         複数の国が警戒する危険国……
         援軍を呼んでもそう簡単には勝てないのかも……)」








一方、センクレイス城






ソル「ん?
   何だ……?」





兵士「ボルト様!
   サイバーキングダムの王が来ました!!」


ボルト「え?

    ……この時間、早すぎる……
    まさかあいつらが行ったのは無駄足に……」



兵士A「ボルト様?」


ボルト「あ、ああ。こっちから行く。」








??????「この国には機械が足りないな。
       格安で輸出してやろうか?」


兵士B「そんな事を私に言われましても……」


??????「固い事を言うな。
       今だったら30%ON、分割512回払いも受け付けているぞ。利子つきで。」


兵士B「ボッタクリじゃないですか!!
    何ですかONって!!3割増じゃないですか!!」






ボルト「何だあのぶっ飛んでる奴は!!」


兵士A「あの人がサイバーキングダムの王のようですが……」


ボルト「うわぁ……」




ただ、その人物は後ろにこれまた軍隊を従えていた。




??????「おっと。あなたがこの国の王、ボルトか。」


ボルト「そ、そうだが……」


??????「我が名はバイタリアス。 サイバーキングダムの王だ。
       ところで機械を買わないか?」


ボルト「何しに来たんだあんたは!?」






この変人がサイバーキングダムの王である。



ソル「(遠くから)
   何だあれは……」


スライサー「……変人だな。」






バイタリアス「っと、冗談はここまでにしよう。
       今、スノークリア軍もここに向かっている。
       ラーファスを潰すためにな。」



ボルト「(これはあいつら無駄足だったっぽいな……)
    そ、そうですか……」




バイタリアス「今こそあの帝国を滅ぼす時だ。
       そう思い、ここまで来たのだ。
       それに、まだ理由はある……」



ボルト「……?」



バイタリアス「この前兵士に多額の借金をしてしまい金を稼がなければいかんのだ
       という訳で買ってくれ」




ボルト「あんた、本当に王か!?」



バイタリアス「頼む。今そのせいで我の部屋は兵士達に占拠されているのだ」


ボルト「威厳……全く無い……」



バイタリアス「掃除も料理も皿洗いも全て我がやる事になってしまった」


ボルト「……あんた大丈夫か?」





バイタリアス「人々は我をこう呼ぶ。

       「世界一雑用がよく似合う王」とな!!」






ほぼ全員「酷すぎる!!」











スノークリア高速船


ミカエル「とりあえず、撃ち落とされ損だった……
     ここまで酷い目に遭ったのは久しぶりだ

     ところで、あいつはまだ目を覚まさないのか?」



ウィンド「(意識不明)」


ティルヴィング「まあ、いつか起きると思うけど……」






ミカエル「それにしてもこの船は早いな、どんどん進んでるぜ」






そしてセンクレイス城へ





ボルト「無駄足御苦労って感じだな。」


ミカエル「こんな事になるとは思わなかった。
     もう今日は休ませてくれ。」









その頃、城の内部で暗躍している者がいた





ラーファス工作員A「よし、これをここに取り付けて……」


ラーファス工作員B「1F、2F、3F、それぞれ5つ、爆弾設置完了!」


ラーファス工作員A「さて、それではカウントを開始しようか」




ラーファス工作員C「爆発まで3時間に設定しました!」


ラーファス工作員A「御苦労だったな。
          これでこの城にいる三国の王も、そして面倒な奴等も全員死亡。
          我がラーファス帝国が世界を支配する!」