第47話 爆焔(後編) とにかく、対策を練る必要があった。 このままでは陥落は時間の問題。 それに、先程の爆発が再び起こる可能性もある。 そしてその可能性はすぐに現実となり、 爆音が轟いた。 ソル「うわっ!?」 ライト「また爆発!?」 スライサー「時限爆弾か……!? だとするとまだ爆発の可能性がある!! 壁からは出来る限り離れろ!! 何処に設置されているか分からない!!」 そう言っていたスライサーの耳に小さく音が聞こえる。 カチ…カチ…カチ… スライサー「(…下!?)」 彼は咄嗟にその場を移動! それとほぼ同時にその真下から爆発が起こった!! スライサー「くっ!!」 ブルームーン「下から爆発しただと!?」 ボルト「くそっ!!」 外からの攻撃も激しく降り注ぐ。 ゼウス「(人は……ここまでの力を有しているというのか!! あの…サタンほどに邪悪なる心を持った者が…いる!!)」 ミカエル「よし、髪もセットしたし、こうなったら失態を取り返す!!」 こんな時に髪のセットか。まあ仕方ないが。 ミカエル「行くぞ!!」 ウィンド「(今日のこいつは心配だ……行かないと)」 ティルヴィング「(今日のミカエルは心配……行かないと)」 そんな予感も的中。 ミカエルは爆発ぴったりのタイミングで時限爆弾の横を通過しようとしていた。 当然爆破された。 ミカエル「ぐあっ!?」 ウィンド「ミカエル!? (こいつは今日はもう駄目だ!!)」 ティルヴィング「ミカエル!! (彼は今日はもう駄目そう……)」 ミカエル「なん……で……こんな事に……」 そう呟くと彼は気絶した。 ティルヴィング「こうなったら二人で何とかしないと!!」 ウィンド「無理な気もするんだが……」 ティルヴィング「……かつてこの一連の物語の始まりから長く続き、 ようやく今、君が活躍できる場所にいる!! 今を逃したら格下げになる!! ウィンド!!」 ウィンド「(何でこいつそんな事を知っている!! 確かに活躍はこれまで一切無いけど!!)」 ティルヴィング「だから今こそ今までの無念を晴らすべく最上級の活躍を!! ずっとミカエルのおまけ扱いは嫌でしょう!? カードのおまけのお菓子の扱いは嫌でしょう!?」 ウィンド「ちょっと待て何だその例えは!! まあそれもそうか……よし、今日は勝てる気がする!!」 ティルヴィングは剣と化し、臨戦態勢に入った。 外では、どうやら他の二国の軍隊が対抗しているらしい。 当然、自国の問題であるセンクレイスの軍隊は更に前にいる。 しかし、三国で対抗しながらも、軍隊は押されていた。 それほどまでにラーファスの軍隊は凶悪だった。 クリアハート「一斉に魔法攻撃!! ラーファスの軍隊の進行を阻止!! 雪と氷の魔力……存分に見せてあげましょう!!」 スノー軍魔術師「分かりました!!」 バイタリアス「怯むな! 我が軍の必殺兵器の破壊力を見せてやれ!!」 Sキングダム兵士「バイタリアス王、早く着火してください」 バイタリアス「よし、着火したぞ!!」 Sキングダム兵士「さっさと照準合わせてください」 ウィンド「これだけあっても奴等を押しきれないのか!? どこまで飛びぬけてるんだ……あいつらは!!」 ティルヴィング「でも、その絶対的な自信も今打ち砕かれる…… 全てを吹き飛ばす嵐により!!」 ウィンド「よし、行くぜ!!」 城内 スライサー「……? 爆発が止まった……?」 突然、城内の爆発は止まった。 ???「……とんだ災難のようだな」 ボルト「誰だ!?」 そこに突如現れた銀髪の青年。 ???「名乗るほどの者じゃないし名乗る気もない。 ただ、爆弾解除をさせてもらっただけだ。半分程度だけだがな」 ボルト「爆弾解除……?」 ソル「そんな事言って実はこいつが仕掛けてたりして……」 ミカエル「うぐ……何でこんな目に……ん? お前は……?!」 ???「また会ったな、大天使様。」 ミカエル「棘のある言い方しやがる……」 ソル「知りあいか?」 ミカエル「ああ。ちょっとだけな。 悪い奴じゃない。と思う。」 戦場 ティルヴィング「大丈夫!?」 ウィンド「あ、ああ…っていうか何でいつの間にこうなってるんだろうか」 もうウィンドはボロボロだった。一人では弱い事この上ない。 ティルヴィング「いくらウィンドが一人じゃ弱いからといっても、 相手が強すぎる……」 ウィンド「声に出して言うな!!」 ティルヴィング「(こんな時は……!) ウィンド、後ろ!!」 ウィンド「敵か!?」 ティルヴィング「ごめんね」 かなり大きな音が響き、ウィンドは倒れた。 剣の姿のままティルヴィングが後頭部に一撃食らわせたのである。 ティルヴィング「わたしがやるから、休んでて」 永遠に休む事になったらどうするつもりなのか。 ミカエル「今度こそ…」 ここでミカエル復帰。 ようやくまともに行けるかもしれない。 ミカエル「行くぞ!!」 そして、汚名返上とばかりに雷を立て続けに放ち、ラーファスの軍隊をことごとく吹き飛ばす!! ティルヴィング「さすがミカエル、戦闘には……」 ミカエル「ん? ウィンドは?」 ティルヴィングはさりげなく舌を出して、ウインクした。 普段のイメージが崩れそうである。 ミカエル「(さすがティルヴィング、容赦が無い)」 ティルヴィング「とにかく、何とかしないと……」 ウィンド「(うぐっ……ど、どうなってんだ!? まさか…ハメられた!?)」 ティルヴィング「(うん。ハメた)」 ウィンド「(ははは、お茶目だな…ってちょっと待て! お茶目で済むか馬鹿!! 何でいつも重要な時にこうなってるんだ!?)」 ティルヴィング「(だって……)」 ミカエル「脳内会議はその辺にしとけ。」 ティルヴィング「(と言う訳だから)」 ウィンド「(グルですかそうですか っていうかあいつ、人の心の中覗けたりするのか!?)」 ソル「よし、行くぞ! いつもミカエルが目立ちすぎているし!!」 ミカエル「くやしかったら追いついてみな!!」 ライト「追いつく!」 ボルト「王が戦わず誰が戦う!?」 スライサー「兵士」 ボルト「人がせっかく格好良く決めようとしてるのに冷まさないでくれる?」 ウィンド「(あれ……? これ戦争だよな……?)」 ティルヴィング「(多分、ね。 暗いより明るい方がいいから。)」 ウィンド「(……)」 ラーファス陣営 ラーファス「何!? 逆転されているだと!?」 ラーファス兵「奴等の仕業かと…… あの連中が戦線に出てきてから一気に……」 ラーファス「くっ…仕方ない。 こうなれば跡形無く消してやろう! 暗黒剣を持ってこい!!」 ラーファス兵「ま、まさか貴方が直々に戦線に出るのですか!!」 ラーファス「その通りだ……どうせこの体など無関係の存在、どうでもいい物。 ならば前線に出ても大丈夫だ……」 ラーファス兵「なら、すぐに持って来ます!!」 最前線 ソル「よし、あいつより先にここまで来たぞ!」 スライサー「……兵士は倒してきたのか?」 ソル「あ」 ブルームーン「意味無い…」 ミカエル「…対抗心だけじゃどうにもならない事が分かったか?」 冷静に言うミカエル。 ソル「負け惜しみか」 ミカエル「何だと!? いいか、総合的に考えれば圧倒的に俺の…」 キレたミカエル。 ソル「追いつき、追い越したんだから俺の勝ちだ!」 ミカエル「この野郎…」 ボルト「おい…」 ライト「お前の国、これはまずいかもな」 ラーファス「役者が揃っているようだな……?」 ライト「って、いきなり現れやがった…」 スライサー「黒幕か。すぐに終わるな」 すると、後ろから… クリアハート「ラーファス軍隊、壊滅!」 バイタリアス「我等の大逆転勝利だ!!」 ボルト「壊滅!?」 そして後ろを見ると… 勢いを失ったラーファス軍は既に敗戦濃厚となっていた。 ボルト「気付かないうちに大量に倒してた… とにかく、ラーファス…もう俺達の勝ちは確定だ!! 降参しろ!!」 ラーファス「くっ…情けない兵士共が…… だが、私を倒さない限り貴様等の勝ちではない!!」 そう言うと、ラーファスはどす黒い色をした剣を抜いた。 すると、その剣から暗黒の力が解き放たれた!! ソル「な、何だ!?」 周囲の空気が変わっていく… ウィンド「(お、おい! これって、まさか……)」 ティルヴィング「(…間違いない、神剣の一つ… 暗黒剣ダーインスレイヴ……)」 ラーファス「さあ、かかって来い!!」 ライト「何かよく分からないけど…行くぞ!!」 スライサー「待て。うかつに近づいては危険だ。 あの剣はかなりまずい代物の気がする…」 ミカエル「どう見てもやばいと思うが…だが、負けるわけには…」 ソル「やばい剣には神剣で…あれ?」 ブルームーン「どうした?」 ソル「デュランダルを城の中に忘れたっぽい!」 ブルームーン「ぶっ!! 最悪のミスだ!!」 ティルヴィング「ミカエル…ラグナロク持ってる?」 ミカエル「お察しの通りとしか言いようがない」 ラーファス「無駄話は済んだか!? 食らうがいい!!」 ソル「ど、どうする……!?」