第51話 昇天者 「永遠の世界」の始まりから数億年。 世界の始まりから今まで見てきた… これまで世界は数多くの災厄を受けた。 しかしそれをも止める数多くの勇者が現れたのだった。 それが何回かあった。 そして今、再びその時期に入っているのである…… ミカエル「以上、俺の分かりやすい説明!」 ラファエル「…おかしいだろうこれは」 センクレイス城 ボルト「…天使によって二人が天に召されたと? 簡単に言うとそうなるのか…?」 フォルス「(ピクリとも動かない)」 フリーズ「幸せそうな顔をしている、大したものでな」 フリーズは後方を指差した。 フリーズ「あいつだ。あの天使だ… 大天使「アナエル」だそうだ…あの凄まじい既視感のある奴は」 差された先には、ラベンダーのような色の長髪の少女…天使が立っていた。 ニコニコしている。 ボルト「…どう見てもエリアスだな」 フリーズ「…そうだろうな」 アナエル、というらしい天使はさっきからずっとニコニコしている。 何なのか。 その横にいるもう一人の天使。 ボルト「あっちも…どう見ても…」 フリーズ「あまり役に立たない存在、から少しぐらいランクアップしたのか…」 そしてボルトはその二人の天使に話しかけた。 ボルト「…お前ら、何なんだよ」 ??????「見りゃ分かるだろ…こっちとしても説明が辛すぎる」 アナエル「天使だよ!」 ボルト「それは分かる!! 問題は「何故お前らが天使なのか」だ!!」 アナエル「え? 問題あるの?」 ボルト「…その翼引っこ抜くぞ!?」 ??????「痛い! 痛いから! 何で俺の方に来た!?」 ボルト「言ったはいいが…ほら、女性には優しくしろって言うだろ…?」 ??????「……何もこっちに来る必要無いだろ?」 フリーズ「…仮装大会ならやめておけ」 アナエル「仮装じゃないよ! 本物だよ!」 子どもの反論っぽい。いや子どもなのだろうが。 フォルス「ん…」 ボルト「と、起きたようだな 別に天に召されては無かったか…」 フォルス「俺は一体何をしていたんだ…」 アナエル「フォルス!」 フォルス「!!」 ボルト「(…フリーズ。まさかとは思うが、フォルスが倒れた理由は…)」 フリーズ「(そのまさかだ…フォルスの目には神格化されて写っているだろう)」 フォルス「うおおおおおおおおおおおお!!」 ボルト「そこ、落ち着け!」 その頃 ゼウス「さて、お前達に言いたい事がある。」 ラファエル「? いきなり…?」 ゼウス「私の事は分かるだろう?」 ラファエル「どんな質問なのか… 天使の…王?統一者?」 ゼウス「そう見えるだろうが、「天使」の統一者は…どちらかと言えばミカエルだな。」 ラファエル「…そうだったか…? 確かにそれっぽい事をするのはミカエルだけど…」 ミカエル「ゼウスは、天使の「姿をした」別の存在だ。 よって「天使」の統一者じゃない。この「空間」の統一者ではあるけど」 ゼウス「そして、お前達天使と対となる、「神」がいる。」 ラファエル「神…?」 ゼウス「空間の天使と対になるもう一つの集団…それが、十二神だ。」 ラファエル「ここに来て十二人もキャラが増えたら大混乱間違いなし…!」 ミカエル「安心しろ。多分そんな出てこないさ。 名前だけ、とかな」 ラファエル「というより、そもそもその十二神というのがよく…」 ミカエル「ゼウスを含めた、十二人「のはず」で…俺達と同じようなもんだ。 戦闘能力としては、俺達と同等程度」 ラファエル「……はず?」 ミカエル「それがな、十二神とか言いながら…六人しかいないのさこれが…」 ゼウス「言うな。お前達は三人…だろう? ミカエル、ラファエル、ガブリエル…半数だ。」 ミカエル「残念だったな。今や五人さ」 ゼウス「…何だと?」 ミカエル「アナエル…それにオリフィエルという二人がいるのさ。 更にもう一人増える予定だ」 ラファエル「ミカエル!? もう一人!?」 ミカエル「その方が良さそうだと思って。本当は七人欲しいけど」 ラファエル「…何故?」 ミカエル「天使と言う以上七人いた方がいいだろ…?」 ラファエル「…何の話をしているんだお前は? それに、一人増やしても六人…ん? 本当は、って…お前、まさかあいつの話をしているのか?」 ミカエル「いや…まあ、あいつは無理だろうな。俺達とは違う道を進んだ奴だからな」 城 アナエル「どうしたの、フォルス?」 フォルス「(冷静になるんだ…!) 何でもない。だが…お前は…綺麗だな」 アナエル「え? あ、ありがとう!」 ライト「……」 フォルス「時に…そっちのお前。オリフィエル…だったな? ついさっき聞いたが」 ライト「(さっきの間に誰から聞いたんだ?)」 もう一人の天使の方にフォルスの目が行った。 オリフィエル「何だよ」 フォルス「お前ごときがエリアスと同ランクの存在だと!?」 フォルスが狂った。いや、この前から狂い気味だったが。 フリーズ「(意味が分からん…)」 オリフィエル「ちょっと待てお前…どういう事だ!?」 フォルス「六文字の長い天使名なんて持ちやがって…呼ぶのが面倒だ!」 オリフィエル「そこ言ってもどうしようもないぞ!?」 ライト「理不尽だ…」 ボルト「おい。フォルスってこんな性格だったか?」 ライト「いや、いつからかフォルスのリミッターが外れたらしい」 ボルト「リミッター……」 フォルス「お前はもう…「ィ」で十分だ!」 他全員「それは無い」 ライト「小文字だけ抽出するのは逆にきついだろ…」 フォルス「…こいつの二つの名前の両方に入っているからだ!」 フリーズ「(それがどうした…)」 ボルト「テンションを下げろ、フォルス。 狂いすぎだ」 ライト「ああ…以前の「俺は選ばれた」発言からおかしくなってきたな。そういえば。 以前のちょっとクールな一般人、って雰囲気はどこに行ったんだか…」 フリーズ「(そんなイメージ、か。)」 フォルス「クールなだけだと明らかにそこのに負けるからだ。」 フリーズ「…」 ライト「出たのが同時だったな。 まあ確かににフリーズはクールすぎる。 どっちかっていうと冷血って感じだけどな。」 フリーズ「冷血・冷酷で何が悪い? 第一、熱い、むしろ暑苦しい奴等が多すぎるだけだろう…?」 ライト「まあ、なあ…」 フォルス「とにかく、お前は「ィ」で十分なんだ! 十分なんだ!」 オリフィエル「わざわざ二回も言うな!」 ラファエル「采配ミスか?」 ミカエル「いや、大丈夫だ。うん、大丈夫。きっと。」 ラファエル「何処も大丈夫に思えない…」