第55話 真の心 光か闇か



センクレイス城


兵士「戦闘準備をしたのに肝心の相手が逃走しました!」


ボルト「そ、そうか…
    ま、まあ…たまには休んでいいよな? この国も」






城下町




ミカエル「サマエルについては前も言ったとおり(パクパク)
     俺達を裏切った奴で、元々同じ空間天使だ(ムシャムシャ)
     で、ん、これうめぇな。
     まあやっぱり自らの欲望に任せて魂を狩ってる厄介な奴だ。おっと、空か。
     じゃあ今度はたこ焼きでも食うか」



スライサー「歩き食いしながら話すな」






ミカエル「で、こっからが問題だが…このたこ焼きうまいな。
     あいつはその単純な行動がゆえに行動の予測が立てにくく、対策しにくい。
     そこをどうするかが奴を止めるポイントだが、…このタレがうまさの秘訣か?
     とにかく、先読みは難しいから、今度見つけたら延々と追いかけるぐらいの意気込みは必要かな。
     あー美味しかった」




スライサー「お前は真面目にあいつを止めようとしているのか?
      …確かに厄介だな。複数の場所で見張っていないと対応しきれないかもしれないか…」



ラファエル「だが、一人で会ったら死ぬな。」




ソル「魂を狩る、だからなあ……」


エストレア「何で今こっちを見たんだよ!」


ソル「殺されないっぽいなお前。魂柔らかいから」

エストレア「哀れみの目で見るな!」


ラファエル「そもそも魂柔らかいって何だ…?」




そんなこんなで城にやってきた。






ボルト「お前らそんなこんなで来るのか?」


ソル「一回呼ばれて帰らされてまた来たんじゃないか」


ボルト「そうか…」


ボルトはミカエルを見た。

呼び出ししたのはミカエルだ。


ミカエル「たい焼きもうめぇな!」


ボルト「(以前と比べても更に掴み所が無くなったなこいつ……)
    堂々とたい焼きを食うな!!」


ミカエル「まあ落ち着けって、一つやるから」


ボルト「あ、ああ、どうも。

    じゃなくって、城の中、しかもこんな所(いわゆる玉座の間)でたい焼き食ってるって
    一体どんな神経してるんだ!?」


ラファエル「無視してくれ。あれは。」





そこの隅の方では


フォルス「いいか?
     エリアスはだなあ…」


オリフィエル「耳が腐るほど聞いたぞそれ…」


ライト「フォルス、そろそろやめてやれよ…」

フォルス「こいつは分かっていない、だから言う」

ライト「駄目だ…こいつは駄目だ……」



アナエル「頑張って!」


オリフィエル「何をだよ!」








ソル「ところであの隅は何だよ!」


ボルト「いや…何ていうか…」



スライサー「俺が止めてきてやるか…」

ソル「?」






スライサー「おい」


フォルス「お前も聞きたいのか?」


オリフィエル「逃げろスライサー! 死にたいのか!」


ある意味死ぬかもしれない。



スライサー「フォルス、一つ言わせてもらおうか…

      お前は 馬鹿 か?

      いや、馬鹿だな…馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」


※真顔で




フォルス「何…!?」








ソル「一秒に五回ぐらい言ってそうなんだが」


ラファエル「しかも真顔…恐ろしい」




スライサー「(繰り返し中)」



フォルス「ふざけるな!」





フォルスはスライサーを殴ろうとした。





結果、返り討ちにされた。




スライサー「黙ったようだな…
      一つ言っておくが、相手が先に手を出した。正当防衛だ」



フォルス「(気絶)」




ボルト「正当防衛…これは適用されそうにないが…」








ライト「じゃあ俺こいつ引っ張って帰るから…」


ソル「お疲れ。」



アナエル「じゃあわたしも…」


オリフィエル「俺も疲れたんだけど」




ミカエル「お前ら二人は残れ」


アナエル「えー? 今日は休みだよ!」


ラファエル「(そんな事言っても誰にも分からないが…)」


オリフィエル「俺はあいつの話を死ぬほど聞かされたんだ…勘弁してくれよ…
       第一、悪魔の時も帝国の時も現場にいたんだから別にいいだろ今回ぐらい…」



ラファエル「…どれだけ聞かされたんだ」


オリフィエル「丸一日」


ラファエル「休め」






その後


アナエル「わたしも疲れてるんだけど…」


ラファエル「(お前はそう見えない…)」




ソル「じゃあ天使の事は天使に任せて俺達も帰るか…」

スライサー「先に帰っていろ」



ソル「え?」


スライサー「折角だ、俺はこいつらに協力していく」




ソル「…おいおい。

   本当に帰るぞ?」


スライサー「…ああ。」





ソルは本当に帰った。




スライサー「…本当に帰られた」


ミカエル「面倒くさがり屋なんだなあいつ。」

ラファエル「今日のお前の発する言葉が一つもまともに受けられない」




ガブリエル「(何で背景に溶け込んじゃうんだろう…)
      そろそろ具体的な計画を決めなきゃ…」



ボルト「国の力欲しいか?
    この前他国とも協力関係を得たし。
    代わりに変な機械が度々届くようになったが」



ラファエル「(悪徳商法かそれは?)
      相手の性質上、目撃情報を得るネットワークが必要だ。
      力は借りたい所だな…」




ガブリエル「でも他国への危険性は…」


ミカエル「大丈夫だろ。そもそも同じだ。」





スライサー「さて、どうなる事か…」

アナエル「スライサー?」

スライサー「ん…?」


アナエル「何でいつも危険な事に率先して挑むの?
     前、サタンに挑んでいた時も…」




スライサー「そうだな…他の奴が出来ない汚れ仕事とか危険なものとか…
      そう言うものを他に回すぐらいなら俺がやる…そんな感じだな。
      別に個人的にやりたい訳じゃない。」


アナエル「…すごいね」


スライサー「何がだ?」

アナエル「避けようとは思わないの?」


スライサー「…避ける必要性が無い。可能な事だからな。
      それに、それで助かる奴だったいるだろう。
      更に、この思いを感じとってくれた奴が…また、同じように立ち上がってくれれば。
      それは、いい事じゃないか?
      ま、ただの理想だと言われればそこまでか…」



アナエル「……」


スライサー「後、俺には知識がある。
      お前や、他の奴は知らないかもしれないが、ある程度の自信はある…
      それを利用する場面もあるかもしれないからな。
      知識なんてもの、利用するタイミングを逃したらもう使う事は無い」



アナエル「そこまで、考えてるんだ…」



スライサー「真に受けるか?
      もしかしたら、口から出任せで言っているのかもしれないというのに、か?」


アナエル「…嘘じゃないって、分かる。」


スライサー「…へぇ」


アナエル「君は嘘をついていない…何故か知らないけど分かるよ。
     これ、天使の力かな?」


スライサー「さあ、な。
      第一お前が何故天使なのか、とか色々疑問はあるが…

      それは間違いなくお前の力だ。その力を有効に使え。」


アナエル「…うん」



スライサー「…さて、と。
      本格的に考えるか…」