第61話 時空の少女


突如、ミカエルを呼んだ謎の声。

彼は、何かに突き動かされ、何処かへと飛んでいった…


そして…



ミカエル「…ここは、何処だ…?」



ミカエルは、周囲を見渡していた。

道に迷ったわけではない。


何故か、そこに来たのだ。


そこが目的地だとは分かっていた。


だけど、そこが何なのか、彼自身にも分からなかった。



ただ、謎の声に呼ばれてここへ来た…それだけ…




????「…目的の物は見つかった?」


ミカエル「!?」




彼が考え込んでいると、突如背後から何者かの声がした。


先程の声とは違った。


ミカエル「…誰だ!?」


そして、彼が振り返ると、そこに一人の少女が浮いていた。


翼などは無いし、何かの魔力も感じない。

本当にそこに「浮いていた」。


????「…今言う必要は無い、いずれ分かるから…」


ミカエル「…どういう事だ?」




????「…この場所に、あなたの探す物がある。
     でも、今は見つからない」


ミカエル「質問には答えてくれないのか。
     まあいいや…」


????「わたしは…あなたの事も、この空間の事も…そして、
     全ての時空の事も知っている…全てを知っている」


ミカエル「…全時空?」




????「ところで、この場所を覚えた?」


ミカエル「周囲に目印も何もない場所を覚えておけるわけがないだろ」


????「……いいえ、あなたはもうこの場所を覚えた。
     あなたの魂にこの地は刻みつけられた…」



意味深な事を言う少女。


ミカエル「……よく分からない」




????「あなたを呼んだ声の主は、必ずここにいる…でも、今はその時じゃない…」


ミカエル「そうなのか…って、何で知っている?
     頭の中に直接響いた声なんだが……」


????「言ったはずだけど?
     全てを知っているって…
     今この瞬間行われている全ての事象がわたしには分かる…
     例えこの地から最も離れた空間で、秘密裏に行われている事だって手に取るように分かる…」


ミカエル「……普通じゃないな。
     まさに、神…って言ったところか?」




すると、その少女はいきなり消えた。



ミカエル「……?」





????「いずれ全時空を巻き込む戦争が起きる…
     その時は、あなたの力も必要になる…」









ミカエル「…よく分からないな。
     まあいいや…俺を呼んだ奴は今は現れない、か。

     魂に刻まれた、ねぇ…」








「ならその魂を…貰おうか?」



ミカエル「は!?

     …全く、客人が多すぎるんだよ昨日から!!」







センクレイス王都付近




ラファエル「この感覚は…!」


オリフィエル「ミカエル見つかったのか!?」


ラファエル「…サマエルと交戦しているな」




オリフィエル「やっぱり一人で場所見つけて突っ込んだりしたのか!?」


ラファエル「いや…あいつが何処かへ行った後、たまたまサマエルがミカエルを発見してしまったようだな…」




アナエル「どういう事?」



ラファエル「…理由は分からないが、あいつが何処かに行った。
      そうしたら、突然奴に襲われた、そう言う事だ…急ぐぞ!」





センクレイス城



スライサー「飛んで行かれたら俺はどうしようもないだろうが…あいつら…」


ボルト「スライサー…そんなお前にこれをやるよ」

スライサー「これ?」



すると、城の前に何かが降りてきた。



スライサー「これは?」


ボルト「中型の飛空挺だ。」

スライサー「飛空挺? ありがちだな。
      こういう話の定番か?
      そもそも何故中型を用意した? 一人だが…」



ボルト「そんな訳じゃないが…
    結構ポピュラーだろう?
    それに、いずれ他の奴も載せたりするだろうから…」


スライサー「そうか。
      くれるなら、有難く使わせてもらおうか…!」


スライサーはその飛空挺に乗った。




スライサー「…さて、動かすには…これか。
      この程度…扱うのは楽勝だな

      どうでもいいが、これでここまで飛んできたのは誰だ?」










バイタリアス「宅配サービスのご利用ありがとうございます」


ボルト「!?
    お前が乗ってきたのか!?」


バイタリアス「部下に対する借金が多すぎるから…」


ボルト「相変わらずか」







スライサー「あいつらの飛んでいった方向はあっちだったな…途中で曲がったりしてなければいいが…」







何処かの場所


サマエル「くくく……」


ミカエル「うざいな…一撃で決めさせてもらう!」


彼は、持っていた剣(雷剣)で空を斬り、空間の裂け目を作り出した。


サマエル「何をする気だ…?」




ミカエル「俺の全力を今から見せてやる、覚悟しな!」