第8話 過去の王、今無き地 ボルト「・・・」 スライサー「さて、これからどうする?」 ボルト「・・・」 スライサー「やれやれ、押し黙ってしまったか。 同名異人がいなくなった所で特に影響はない、 それよりも仲間と合流したいんだろう?」 ボルト「・・・ああ。」 ??「おや、まだ生き残りが居たのか?」 突如、背後から声が聞こえた。 ボルト「・・・!?」 スライサー「・・・敵か?」 ??「この街に住んでいる奴は残らずぶっ殺してやったはずなんだが? それなのに生き残りがいるだと? この俺様がやったというのに、か?」 背後に立っていたのは、黄色の翼の天使。 スライサー「誰だ、お前は?」 ??「くっくっく、俺の名はギガ・・・ この大地の全ての生命を抹殺するのさ、ハッハッハ!!」 スライサー「・・・小物だな。 その笑い方、まさに小物。」 ボルト「・・・!? お、お前は・・・!!」 スライサー「?」 ギガ「おや? どうも見た事のある顔だ・・・」 スライサー「・・・知り合いか?」 ボルト「ま・・・さか・・・」 それは数年前の話である。 センクレイス王国に脅威が初めて迫った時の事。 ?????「ボ・・・王よ!! 危険だ・・・です!!」 ???「どうした!? そう固くならずに素早く話せ!!」 ?????「じゃあ・・・ 翼の生えた連中が攻めてきた。」 ???「何だって・・・!? 敵襲だと!? くっ・・・すぐに軍隊を送れ!! 民衆に被害が及ばないように!!」 ?????「了解!」 その数時間後・・・ 兵士「ストリーム様、軍隊がほぼ壊滅しました・・・!!」 センクレイス王国に仕える兵士の1人と、軍隊の隊長であるストリームという者が話していた。 (※ストリームはポケダン小説3部のストリームと同一人物です) ストリーム「何だと!? この国の軍は、世界最強の軍隊なんだぞ!? 俺が少し戦場から離れた隙に壊滅したのか!?」 兵士「は、はい・・・ ストリーム様が王様に報告をしに行った10分あまりに壊滅的被害を受け・・・」 ストリーム「バ、バカな・・・!! どうなっていると・・・いうんだ!?」 兵士「ストリーム様、王様をお連れになって逃げてください!!」 ストリーム「!? 部下を大量虐殺されているのに逃げろっていうのか!?」 兵士「ですが、ここでこの国を途絶えさせるわけには行きません!! 残りの精鋭達で押さえている間に、どうか・・・!!」 ストリーム「くそっ、分かった!!」 ???「に、逃げる・・・のか!?」 ストリーム「・・・ここで王家の血が途絶えてしまったら・・・!!」 ???「そ・・・そうは行かない!! 王は国を守ってこそだろ!? 何で俺が逃げなきゃ・・・」 ストリーム「・・・それだけじゃ・・・」 ??「くっくっく、お前がこの国の王か?」 ストリーム「・・・!!」 ???「くっ・・・!! そうだ、この俺がこの国の王だ!!」 ストリーム「お、おい!!」 ??「なら・・・死ね!!」 ストリーム「!!」 ・・・あの日、王都は今と同じように崩壊した。 あの時の方が、まだマシだったが。 ボルト「思い出した・・・!! お前は、あの時の・・・!!」 ギガ「まさか生き延びているとは・・・ だが、今度こそこの国の歴史は終わる!!」 スライサー「・・・何てこった、 まさかこいつが・・・」 ボルト「くそっ・・・!! うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 ギガ「遅い!!」 一瞬。 血が滴り落ちる。 ただそこに静寂が支配する・・・ ボルト「ち・・・くしょ・・・う・・・」 ギガ「所詮人1人、この俺様の敵ではない!!」 ボルト「・・・」 スライサー「やれやれ、突っ走って返り討ちか・・・ 全く、猪突猛進だな・・・」 ボルト「・・・」 スライサー「しょうがない、代わりに俺がやるか。」 ギガ「ほう、わざわざ死にに来る気か?」 スライサー「いや、勝ちに行く訳だけど、な・・・!! ・・・・・・」 スライサーは、目を閉じて、精神統一を始めた。 ギガ「ふん・・・隙だらけだ!!」 スライサー「「居合・裂傷破」」 一閃。 ギガ「かはっ・・・!?」 ボルト「・・・!」 スライサー「やっぱ小物か。 この程度見切れないというのか?」 ギガ「ば・・・か・・・な・・・ く・・・一旦退却だ・・・!!」 ギガは光に包まれ、何処かへ消えた。 ボルト「・・・」 スライサー「・・・ま、怒りに身を任せたら勝利は見られない。 相手の心の隙につけこむ奴ほど性質悪い奴はいないな。」 ボルト「・・・今のは・・・」 スライサー「居合っていう剣技があってな。 剣使いなら基本、誰でも知ってる物さ。通常は。 ただ、今俺が使ったような、特殊な物もある。 数は剣使いの数だけあると言われている」 ボルト「・・・」 スライサー「さて、さっきの奴はこの間、街を襲撃してきた奴等に似てたな。 どうやら同一犯のようだな・・・」 ボルト「・・・奴等を、倒したい」 スライサー「・・・、そうか。 だが、ふと思い出した過去の事だけに囚われるのは愚かだ。 とはいえ・・・倒す必要性のある相手ではあるけどな。 まあ、まずは落ち着け。」 その頃、天空・・・ ギガ「ぐぐっ・・・くそっ・・・」 スピード「ちっ・・・」 グランディア「・・・面倒な連中だ、 早々と片付けてしまわねば何かが起きる・・・ 普通の人間とは違う何かを感じる連中だ。」 スピード「ギガは敗北して・・・俺達も失敗した。 癪に障る奴等だ・・・」 ギガ「この俺様が・・・負けるなんて事・・・」 グランディア「スピード、ギガ。 よく考えろ。 奴等はただ油断を突いてきただけの事。 我ら3人が全力でやれば、奴等も、この世界も・・・」 ?????「・・・本当に、そうだというのか?」 そこへ、蒼い翼の天使が現れた。 スピード「・・・フィラネス」 フィラネス「これまでの話を基にして考えたが、 奴等には常軌を逸する何らかの力が働いている。 私達の想像を遥かに超えたものだと考えるが・・・」 グランディア「・・・そんな訳はない、なぜなら」 フィラネス「更に2つ話させてほしい。 まず1つ、スピアだ。 奴については今考えていることで間違いないだろう。分かるな?」 スピード「・・・」 ギガ「・・・」 グランディア「確定は、出来た。」 フィラネス「奴があいつらについている以上、私達の勝てる確立は大きく下がっている。 奴の力はこの作戦の最大の脅威だ・・・」 グランディア「だが、奴はあの力を普段抑えている。 そこを一気に攻めれば間違いなく・・・」 フィラネス「そして2つ。こちらが大きな問題だ。 今、奴等を監視した。 私は世界の全ての者を把握しているからな。 そして、感じたのだ。 ソル、ライト、リーフの3人だ」 グランディア「・・・それが?」 フィラネス「『グランド・フォース』の疑い在り・・・」