第25話 死神からの宣告 2 ブレード・・・一人の少年の希望 出口はない。ある訳ない。 だが諦めるわけには行かない。 ライトは、無駄なんじゃないか、と思うその心を抑えつつ歩く。 絶対不可能でも打ち破らないといけない。 全てを覆さないといけない。 死者は蘇らない、という最大の常識も破らなければいけない。 その頃・・・ シェイド「誰もいない、か・・・」 シェイドもまた同じく彷徨っていた・・・ 否、彷徨うのは終わった。 彼は既に見つけ出していた。 元の世界に戻る、その場所を・・・ シェイド「・・・ちっ」 だがシェイドは触りもしない。 それどころか舌打ちまでした。 シェイド「やはり・・・二度は無い」 それからしばらく経ち。 ライト「・・・あいつは・・・?」 シェイドを発見した。 即ち、元の世界に戻る場所を発見したと同義である。 シェイド「・・・」 ライト「・・・シェイドか?」 シェイド「ああ、そうだ。 ・・・遅いな」 ライト「オラァ!!」(渾身のパンチ シェイド「ぐへっ!」 ライト「悪霊が調子に乗るなボケ!!」 シェイド「いやここでそう言うか!?おかしいだろ!! どう考えてもおかしいだろ!!」 この時、これを見ていたスピアは何かを感じた。 スピア「・・・何だ・・・? 何かおかしい・・・ あの2人・・・何かが同じだ」 ライト「・・・そういえば、聞きたい事が・・・」 ウイング「この門、元の世界に戻れそうだね」 ライト「え?」 数秒の間 そして ライト「よ・・・よっしゃあ!!楽勝だったな!!」 スピア「ま、呆気ないな」 ウイング「・・・じゃあ、」 戻れる・・・!! ブレイカー「よかったなあ、お前ら」 ライト「あ、いたのか」 ブレイカー「間が1話しかないのによく忘れられるな!?」 ライト「・・・どーせお前着いて来れないんだろ」 ブレイカー「・・・ま、そうだけどな。 俺が死んでから時間経ちすぎてるからな」 ライト「・・・ま、会えただけでも嬉しかった」 ブレイカー「・・・!!」 ライト「ん?変な事言ったか?」 ブレイカー「・・・いや、何でもねぇって! ま、がんばれよ? 死んだらまあ祝ってやるぜ」 スピア「・・・性格悪いようだな?」 シェイド「・・・ライト。」 ライト「ん?」 シェイド「・・・俺も、ここでお別れだ」 ライト「・・・は?」 スピア「・・・? 何を言ってやがる・・・」 シェイド「・・・その通りの、意味だ」 ライト「待て。 お前はまだ大して時間たってないだろ。 そこまでやられ役が嫌か?」 スピア「やられ役ってお前、それをこ・・・」 シェイド「俺はもう駄目なんだッ!!」 突然声を張り上げるシェイド。 ライト「・・・!?」 シェイド「強い意志を持っていれば生き返られる!! 死の淵からでも戻ってこれる!! だけど二度は無い!!」 ライト「二度・・・!? ま、まさか・・・お前・・・!!」 シェイド「・・・俺は既に一度死んでいる」 衝撃。 ライトは、目の前が急に暗くなった気がした。 死んでいた、だって? スピア「・・・」 ライト「そんな、馬鹿な・・・!?」 シェイド「実際死んだんだから仕方ない。 もう無理だ」 ウイング「じゃ、じゃあ!! もう・・・戻れない?」 シェイド「そう、俺はもう戻れない ・・・さあ、早く行け。早くしないとタイムリミットだ」 ライト「え?」 シェイド「あと数分もすればお前らも戻れなくなるぞ・・・」 シェイドは、そう言って、ライト達3人を押した。 ライト達は門に当たり、門が開く・・・!! そして止まらず、門を突き抜ける・・・!! ライト「シェイド・・・!! お前・・・!!」 シェイド「・・・じゃあな」 ライト「最後に1つ・・・!! お前・・・お前のあの能力!!」 ライトは、聞かなければいけない事を聞けていなかった・・・ 先に聞いておいたほうがよかった。 シェイドがあの時放った能力。 それは彼自身に関わる事だったから。 シェイド「闇に・・・殺気に身を落とすな。 「ダークネスプリズン」・・・殺気を放つな。 殺気なんて物は誰にでもある。 俺なんて人一倍ある。 お前も人一倍ある。 だけど・・・身を堕とすな、 ブレード」 スピア「ブレード!?」 ウイング「ブレード・・・?」 ライト「・・・俺の本名・・・!! お前は・・・もしかして・・・!!」 シェイド「・・・生きてくれ」 その時、白い光にすべてが包まれた。 ライト「(ああ・・・そうか・・・ きっと・・・全てを隠して・・・ どうして気づかなかったんだろ・・・ どうして・・・)」 彼の脳裏には何かが蘇っていた。 それは・・・昔の事・・・ ????「ブレード!!逃げろ!!」 ライト:ブレード「・・・!!」 ライト:ブレード「お、お前は・・・逃げないのか!?」 フォルス「逃げてなんかいられない!! お前の親も戦ってるはずだ!! ・・・・さんと、・・・・さんも・・・」 ライト:ブレード「父さん!!しっかり・・・」 ????「来るな、逃げろ!! 逃げて・・・逃げて・・・ ・・・生きてくれ」 光が消えた時、そこは、広場だった。 誰もいない・・・ ライト達は、ポケモンの姿に戻っていた。 スピア「・・・くっ。 ・・・ん? ここは、広場か・・・どうしてこんな所なのか。」 ウイング「・・・あれ?ライト・・・?」 ライト「・・・慣れてる、こういうのには」 ライトは、下を向きつつ、呟いた。 ライト「・・・誰もいない、か」 音も何も無い、その広場で、ライトは呟いた。 スピア「・・・」 ライト「・・・ようやく、全ての記憶を思い出した」 ウイング「え!?」 ライト「それに・・・全て辻褄が合った。全て・・・」 スピア「・・・全ての記憶、全ての辻褄、か。 お前、泣くか?」 ライト「いや、いい。 むしろ、記憶が分かったから嬉しいぐらい」 ウイング「・・・?」 ウイングは何も分からない。 一方、スピアは、ウイングとリダクトの時のように、 言葉などから、それを読み取った。 だから、分かった。 とはいえ、スピアは、それにそのライト自身も、それについてはそれ以上何も言わなかった。 ライトは、一言、言った。 ライト「・・・行こう、再戦へ」 その言葉には今までに無いほどの希望が満ち溢れていた―――。 誰にでもある物。 ライトの能力はそれが大きく現れていただけだった。 殺気の力。 だが、それは厳密には能力ではなかった。 彼の心の中の殺気はこの時、全く無かった。 そう、もうそれを感じることはいらない。 次が終わりだから。 ライトは、再び歩き出した。 それは、最後へ向けた一歩・・・。 スピア「・・・そうだな、行くか」 ウイング「・・・うん。」 彼の先にはまだ壁はある。 今ある壁と。 そして、誰も知らない、最後の壁がある。 だが、それを打ち破る事は決して不可能ではない。 剣の名、光の名。 闇を振り払う一筋の光となれ・・・