第26話 長き物語の最後の真相



少し前。

船上にて、倒れそうになったボルト。

記憶のフラッシュバック。



それには触れず、フリーズはこの船にいる、全リバースメンバーを呼び集めた。




ライト、ボルテージ、ボルト、ウイング、ヤイバ、ブレイカー。

かつてのリバースのメンバーが全員動けないか、その場にいないか、

もしくは、消えたか・・・。


そうなったならば、誰がメンバーをまとめるか。

それは難しいところだが。




フリーズ「・・・お前らは、これでいいのか?」




フォルス「・・・」

エリアス「・・・」


一度倒れた、フォルスとエリアスの心は相当暗い。



今ここにいるのは、ボルト、フリーズ、フォルス、エリアス、ウィンドの5匹のみ。


ボルトは今倒れかけているので、全員集めてもたった4匹。




4匹ばかりでは、やろうとしても何も出来ない気がする・・・



だが。


フリーズ「他の救助隊には出来ないことがある」

ウィンド「それは?」


フリーズ「この状況を打開する事」




フォルス「・・・出来ると、思うのか」

フリーズ「ああ。
     出来るはずだ、これは。
     諦めなければな」


ウィンド「イメージと違うこと言うな、今日は」






フリーズ「俺、ようやく分かったんだよねぇ・・・」



フリーズの言葉から発せられる感情。

それがいつもと違う気がする。


少し、そのテンションとかも違う気がする。




フォルス「・・・何が」




フリーズ「俺の生きる意味さ」


ウィンド「生きる意味?」

フリーズ「それは・・・
     今、この状態から世界を救う事」





フォルス「馬鹿言うな・・・!!
     もう、どうしようもねぇ・・・」


逆に、フォルスはかなり気弱になっている。

ライトがやられたという事実は彼にとって最大のショックだった。



もしかしたら、今は亡き自分自身の親よりも頼れる者だったかもしれないのに。








フリーズ「で、あいつらががんばって戦ったというのに。
     俺等は何もせず、ただ、逃げるのか?」



ウィンド「まぁこれはフェアじゃあないよな」





フォルス「・・・」


フリーズ「戦おうぜ、どうせ生きる者は死ぬ運命、
     早いか遅いかの差、それだけさ」





フォルス「だが・・・!!」



フリーズ「それとも・・・フォルス。
     お前にとってライトはその程度の存在だったのか?
     奴の気を汲まずに逃げることが出来るほど小さな存在だったのか?
     いつでも忘れられる存在だったのか?」





フォルス「!!
     そ、そんなはず・・・!!」



フリーズ「だってそうだろう!?
     思っていないから行かなかったんだろう!?
     もしお前が奴を強く思っているのなら!!

     奴の代わりに敵を倒せ!!そして!!
     あいつを、救え!!」






フォルス「・・・救う・・・?」


フリーズ「そうだ!!
     もし奴が死んだんなら・・・!!
     奴の無念を晴らしてやれよ!!
     倒してやれよ!!
     思ってやれよ!!

     あいつが死んでるとは強さ的にも・・・それ以外からも考えにくいが!!
     もし仮に本当に死んでるなら・・・!!

     迷いなく旅立てるように、全て終わらせてやれよ!!」





フォルス「!!」






フォルスは、ライトの事を頭に浮かべた・・・



それと同時に、ただ黙って聞いていただけのエリアスが話した・・・


エリアス「こんな事言うのもなんだけど・・・
     それに、押し付けるようになってるかもしれないけど・・・

     兄さんは、みんなを信じてた。
     兄さんは、リバースの全員を最高の仲間だと考えてると思う。
     勿論、君も。」



フォルスは、顔をうつむかせている。




エリアス「でも。
     私も、フォルスも、あと、ボルトとウィンドも、
     これじゃあ兄さんを裏切ってるみたいで・・・」



ウィンド「俺もかよ・・・」





エリアス「お願い・・・
     一緒に・・・行こうよ・・・」





フォルスの目から涙が溢れた。


ただ、自分の愚かさと、力の無さを悔やむ。



その数分の間に、変わった、見方。



フォルス「そう・・・だよな・・・」




フリーズ「・・・分かったのか」


フォルス「あいつは全員を信じていた。なのに俺達だけ何処かへ逃げようとした。
     最低だった・・・なのに諦めていただけでそれを正当化しようとした。

     俺はその中でも最低中の最低だ。

     だから・・・償わなきゃいけないな、これは」







その時、別の声もした。



ボルト「・・・俺もやらなきゃいけないか」



フリーズ「・・・ボルト。」


ボルト「過去の記憶に苦しんでる暇はなさそうだな・・・
    それに、お前らのような新参者がそんな事言ってるのに、
    ライトと、ボルテージとともに最初からいた俺が行かないのも変だしな」






エリアス「・・・みんなで行けば、勝てるよ!!」



フリーズ「・・・で。後、お前はどうなんだ?」




ウィンド「俺かよ!?
     い、いや、こりゃ行かないって答えることは出来そうにないだろ・・・」






フリーズは、口元に笑みを浮かべ。

フリーズ「全員だ。
     今これだけしかいないけど、全員だ。
     一致した、意見だ・・・」





倒しに行く










長き物語の最後の真相。


それは、ただの血縁関係とか、そんな物ではない。




それは。


彼等は、・・・リバースは、お互いを信じている。


それだけでいい。




それが事実。それが一番大切なこと。











ボルト「おーい!!」



ボルトは、船に乗っているほかの者達に言った。


ボルト「俺等は戻るからな!!」




全員が驚く。



「正気か!?」

「死にに行くのか!?」

「何を言っている!!」




フリーズ「本当だって。」

フォルス「それに、正気だ」



ボルト「そして、言っておきたいことは!!
    俺等・・・救助隊リバースを、

    そして、あいつを。ライトを忘れないでやってくれよ!!」





そう言って、5匹は海に飛び込み、元の方向へと戻った。





自分達は死ぬと思う。でもそれでも行く。


今のは最後の、別れの言葉だ。




思い残さない。





ボルト「・・・今まで、ありがとよ」








全員が見ていた。


全員が聞いていた。




それがそこにいた者たちが見た、





最後の、リバースの姿になるだろう。







そして彼等はたどり着いた。



大陸へ。







ボルト「・・・戻って、来たな」


ウィンド「やっぱやめときゃよかったかもな、俺」

フォルス「怖気ついたか?」


ウィンド「う、うっせーよ」



ボルト「さて・・・行くか!!」









ライト「そろそろ・・・やるか」

スピア「奴を倒すことを、か。」

ウイング「これが、最後の決戦・・・」


ライト「さて・・・行くか!!」









ヤイバ「向かうしかないな、奴の元へ」

ボルテージ「ああ。」


ヤイバ「だが・・・死ぬかもな」

ボルテージ「関係ねぇよ。」

ヤイバ「そう、か。」


ボルテージ「さて・・・行くか!!」











「「「最後の戦いへ!!」」」