第3話 大災難の日 最初から、気づかれていたか。 フォルスは、自嘲気味に、薄く笑みを浮かべた・・・ だが、気づかれたからと言って、失敗とは限らない。 こいつを倒せばそれで済む事。 しかしそれが簡単でない事も、同時に分かっている。 初めて会ってからしばらく経っている。 ヤイバの強さはかなりの物で、 それを倒した、5、6匹を、 いとも簡単にこんな状況に追い込む。 その事実が、その証拠となる。 掴もうと伸ばした手を下げ、またも慎重に攻撃のタイミングをうかがい始める・・・ ライト「(くそっ、気づかれていたのか!!)」 ボルト「(まずいな・・・)」 フォルス「やるしか無いようだな・・・」 リダクト「・・・数分も経てば」 リダクトは、冷酷な笑みを浮かべている。 顔は見えない(ほぼ全身見えない)が、それは分かる。 リダクト「・・・お前は、倒れているだろう」 余裕を持っている。 フォルスは、少し焦りを感じた。 全く、今日は大災難だな・・・ 勝てるとは思えなかった。 とてもじゃないが太刀打ちできそうに無い。 そう思い・・・ ボルト「(おい、あいつどうする気だ・・・?)」 ライト「(・・・あいつは思いの外冷静だ、 感情に任せず、どうしても勝てない時は退く)」 ボルト「(でもそうしたらウイングは・・・)」 ライト「(・・・助けたいけど助けられない、もどかしいな・・・)」 フォルス「・・・ここで、俺が、降参するって言ったら、 見逃してもらえるのか?」 フォルスはあえて下手に回った。 リダクト「・・・今日のところは、な」 フォルス「・・・なら、今日は勘弁してもらいたい」 が、言葉とは裏腹に、何かを狙っていた。 ボルト「(退く気か!?やっぱり・・・!!)」 ライト「(違和感があるな・・・)」 フォルス「・・・でも、ただでは帰らない」 フォルスはまたウイングを掴もうとして・・・!! リダクト「・・・これ以上何かするなら見逃さないが、何か?」 フォルス「・・・ちっ、これも読んでたか。 はいはい・・・何もしなけりゃいいんだろ・・・「エナジーワープ」」 フォルスは、能力を使って、ライトの所まで戻った。 ライト「無理なのか・・・!!」 フォルス「・・・すごい威圧感だった。 よほどの自信があいつにはある」 エリアス「でもここで逃げたらウイングはどうなるの?」 フォルス「・・・動向が分からなくなったら、助けようが無い・・・」 ライトの親友であるフォルス。 彼は客観的に物事を見たりする事も多い。そして冷静。 では、ライトの妹の、エリアスは? エリアス「そ、それじゃ駄目・・・」 フォルス「でもどうするんだ?」 エリアス「・・・!!」 ライト「な、何をする気だエリアス!!」 そう、感情的過ぎる。 彼の近くには、正反対の性格を持った者がいるのだ。 リダクト「他の奴が来たか・・・話し合いは無さそうだな、なら容赦はしない!! ギガインパクト!!」 音は無い。静寂の空間である。 ライトは叫んだ。でもそれは声にならない叫びだった。 吹き飛ばされるエリアス。 ボルトは何とか、エリアスの吹き飛ぶ勢いを止めると、 そのエリアスと、一瞬の内に思考停止状態になってしまったライトを引っ張っていった。 フォルスもそれについていく・・・ ボルト「不戦敗・・・だ・・・」 ボルトは、ある程度はなれたところまで引っ張っていくと、エリアスの様子を見た。 先ほどのヤイバの状態と同じぐらい危険な状態に見える。 ボルト「フォルス!!急いでこいつを救助基地まで運べ!!」 フォルス「分かった・・・!!」 ボルトはその後、ライトを更に引っ張りつつ自分も救助基地へと戻った・・・ 救助基地では、ヤイバを寝かせていた。 フリーズが冷静な判断をし、すぐにここへ運んできたのだ。 目測としては、命に別状はないようだ・・・。 エリアスの方も、あくまで目測だが、見てもらった。 こちらも一応、大丈夫らしい・・・ ライトは、思考停止状態から目覚め、ボルトからエリアスの状況について聞くと、 安心して、そのすぐ後に色々と考え始めた。 ライト「(どうすればいい・・・? これじゃあ、もう分からない・・・ あそこでこんな事に俺がならなければまだ良かったかも知れないのに・・・)」 そう。もう奴は移動してるだろう。 これで行方が分からなくなった。 それによる、ある種の怒りがこみ上げる。 そしてその矛先が別方向を向いた。 ライト「おい、ボルト?」 ボルト「・・・?」 ライト「話によると奴はリバイブの・・・」 ボルト「お、おい・・・何をする気だ?」 ライト「・・・そうするしか無いだろ、 奴等を問い詰める。ギリギリまで問い詰める」 今回は世界なんて賭けていない。 だが、その代わり、仲間を賭けている状況である。 どちらにしろ、本気になる。 ライト「リバイブの基地・・・何処にある!?」 そして・・・彼は本当に行った。その、場所へ・・・ その頃には大分そのある種の怒りも収まってきた・・・ カッター「ん、お前はライト。一体はるばるここまで何の用だ?」 ライト「・・・リダクトってどんな奴だ?」 カッター「・・・リダクト?」 彼は、何故そんな質問をするのか分からない、そんな表情をしたが、 あまりにもライトが真剣だし、わざわざここまで来たと言う事は何かあると思い、 リダクトについて語った・・・ カッター「あいつは、かつて、とんでもない事をやったらしいが、 それが何なのかは分からない。 かなり怖いしな、あいつ・・・ 何の関係も無い他人には優しいが、 何らか、まあ何かは知らないが・・・関わると、 まるで別人だ。機械のような。 冷酷で・・・。」 ライト「少しも、その何かについては知らないのか?」 カッター「・・・唯一、俺が知っている事があるとすれば・・・ 誰かを探しているとは聞いていたが・・・」 そこに、奴も来た。 スピア「ここまで来たのか・・・。 結局・・・何も出来なかったんだな? 俺も少しは感づいてたがな。あいつが関わってるって」 ライト「・・・」 スピア「代わりにそこは俺が少し話そう。 おそらく、だが。奴が探していたのは、 そう・・・ウイングだな。 この前あいつ(ウィンド)から聞いたが、実際、 もう奴はお前等の所に一度行ったらしいしな・・・。 おそらく、とはいえ・・・確実だろう」 ライト「・・・じゃあ、あいつの過去について何か知らないか?」 スピア「そこまでは俺も分からない。 調べるのも無理かもな・・・ ・・・まあ。何か分かったら教えてやる。 これに関しては協力するから」 ライト「そうか。ありがとう」 唐突に現れて。唐突に連れ去っていった。 リダクト・・・奴は一体、 ライト「何者なんだ・・・?」