第８話　クロスリバース



気づけば彼等は全力で逃げていた。

逃げる事以外考えられなかった。

勝てない。完全に閉ざされた勝利。



逃げる・・・逃げる・・・逃げる・・・







気づけば、ヤイバの姿は見えなかった。

逃げ切った・・・



ボルト「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」


フリーズ「逃げ・・・きれた・・・ようだな・・・」



リミテッド「・・・スピアは・・・？」

ランス「運んできた・・・疲れた・・・」



カッター「あいつ・・・調子・・・乗ってる・・・」





奴がそこまで怒る理由・・・








しばらく経って・・・


ストーン「・・・で、何であんな事になってたんだ？」





ボルト「・・・それは・・・」



ボルトは経緯を語った。






リミテッド「リダクトが！？」


ランス「あの野郎！！」




ボルト「・・・ウイングを連れ去って・・・
　　　　それでヤイバは・・・」



カッター「・・・ヤイバはウイングの事が好きだったのか？」


ボルト「・・・多分。
　　　　そうでなければ考えられない」






フリーズ「・・・人の恋愛事情なんてよく分からんけど、
　　　　　まあとにかく、お前等のリーダーの所為だな」





リミテッド「・・・でも。
　　　　　　何か事情があるんだよ・・・
　　　　　　そんなに、攻め立てても・・・」






ボルト「さて、それはどうかな？」


リミテッド「？」





ボルト「俺は前、そうやってライトを攻め立てた。
　　　　信頼していた奴をそうやって攻め立てた。

　　　　しっかし・・・お前等も攻め立てたじゃないか？
　　　　それと同じだ。お前の言ってる事は矛盾しすぎだぜ」



リミテッド「あれは！！」

ボルト「言い訳、できるのか？
　　　　そうやって・・・。」



リミテッド「あれは世界規模で・・・！！
　　　　　　今度は違う・・・！！」






悪霊「・・・世界規模、とか、何とかよく分からん話してるな。」


フリーズ「お前は黙ってればいいと思うぞ」




悪霊「いや。今の話聞いてると何か苛々する。」



悪霊は、リミテッドの方を向いた。





悪霊「おい、そこの馬鹿。」


リミテッド「ば、馬鹿！？」

悪霊「そうだろ。今の話聞いてる限り馬鹿だ。
　　　俺は別に誰か攻め立ててる件については
　　　はっきり言ってどうでもいい訳だ。

　　　だけどその後が気に食わん。」

リミテッド「その・・・後って・・・！！」





悪霊「・・・世界規模なら攻め立てていいってか？
　　　そして世界規模じゃなければ攻めたてちゃいけないってか！？」





悪霊はいきなり、何故か怒りを露にした。



悪霊「ばっかじゃねーの！？お前何処の馬鹿だ！？
　　　本当に馬鹿じゃねーの！？
　　　何だ？規模の大きさが問題なのかそういう事って？
　　　冗談じゃねーぜ・・・！？」





ボルト「お、おい・・・？
　　　　急に・・・一体・・・！？」


悪霊「黙ってろ！！」


ボルトは、ライトのそれよりも物凄い殺気を感じた。


こいつは・・・何か過去にあるのか？

それと関わる事に触れてしまったのか・・・？


でも・・・規模・・・とか・・・



その場にいる全員が黙った。




悪霊「はっきり言うけどな、規模なんて関係ねぇだろう！？」


リミテッド「な、何で！！
　　　　　　世界が滅ぶのと、今回の事件と同じだって言うの！？
　　　　　　全然違う・・・！！それは・・・！！」





悪霊「・・・それ以上言ってくれるな。
　　　なんっつーか・・・昔あった事を思い出して・・・

　　　何かぶっ潰したくなるんだよ」








その頃・・・


ライト「うっ・・・」

ライトは目を覚ました。

フォルス「目を覚ましたか・・・」


ライト「くっ・・・ヤイバはどうした？」

フォルス「・・・ほぼ総動員で止めに行った」



ライト「止めないと・・・本当にやばい・・・」


フォルス「・・・だがお前は無理だな・・・死ぬ。
　　　　　その状態じゃ無理だ。」

ライト「だけど・・・」


フォルス「・・・うるさい、寝とけ。
　　　　　完全に回復してから追いかけろ。
　　　　　その方が、結局早いと思うぜ・・・」





ライト「・・・分かった。
　　　　ところで、気がかりな事がもう１つ・・・」


フォルス「？」


ライト「あいつが何か言ったのを聞いたんだ・・・

　　　　『Ｃ・Ｒ・Ｒ』って」




フォルス「・・・？
　　　　　Ｃ・Ｒ・Ｒ？意味が分かんねぇな」



ライト「・・・ヤイバは何かを知ってる。
　　　　もしかしたらリダクトの事も・・・」




フォルス「・・・そうかもな。

　　　　　にしても・・・Ｃ・Ｒ・Ｒって何かの頭文字か？
　　　　　Ｃから思い当たるのは・・・
　　　　　Ｃｒｏｓｓ・・・
　　　　　それっぽい単語はそれしか思いつかない」

ライト「クロス・・・か。交わる・・・」


フォルス「だがＲに関しては多すぎるな・・・
　　　　　そういえば・・・リバースも頭文字がＲだな。」


ライト「リバース・・・再生・・・」




フォルス「だが、挙げようとすればこんなの幾らでも挙げられる。
　　　　　考えるだけ無駄だな・・・奴に問い詰めないと全く分からない」




ライト「まあ、Ｃ・Ｒ・Ｒとか言うのもなんだし・・・
　　　　一旦はそれで言おうか。思いついた２つ・・・

　　　　クロスリバース・・・ま、もう１つのＲが抜けてるけど」




フォルス「Ｃｒｏｓｓ　Ｒｅｖｅｒｓｅ・・・か。
　　　　　でも・・・Ｒに関しては・・・
　　　　　リダクトに関わる事なら、そう取れるけどな」







それはいつか知れる・・・


彼の計画・・・

ヤイバの怒り・・・

どうか全て収まるように・・・願おう。

願わくばまた平和を。








場面は戻って・・・





悪霊「確かにお前等から見れば規模は小さい！！
　　　だがな、こっちにとっては仲間の命がかかってる事だからな！！
　　　全く変わらない！！むしろ俺はそこにキレてんだよ！！」




リミテッド「・・・っ！！
　　　　　　君にそんな事言われる筋合いは無い・・・！！
　　　　　　それ以上・・・！！」





スピア「いや、それは正しい」





リミテッド「！？」


スピアが目を覚ました。いや・・・

単に、動けなかっただけ。聞こえてはいた。





スピア「リミテッド・・・お前の言ってる事は、完全に失言だ。
　　　　お前は、自分の仲間じゃないからって、命を軽く見てる」


リミテッド「・・・」


スピア「命を軽く見るのは、
　　　　最も大きい罪、俺はそう思う・・・」





リミテッド「・・・でも！！」




スピア「・・・それ以上、言うかよ・・・

　　　　・・・他の奴等がどう見てるかは知らないが・・・
　　　　悪いな、そこまで行ったら俺はお前についてけない、
　　　　俺は救助隊抜けさせてもらうから」




全員「！？」





ストーン「お、おいおい！！スピア！？」


スピア「悪いな、だけど俺は・・・自分の気持ちに正直だ」



カッター「だけどそうしたら、もしもの時に封印かけたり、
　　　　　解いたり出来ないだろ！？能力の！！」


スピア「そうだな・・・いや、どうでもいい」


カッター「どうでも！？」


ランス「正気！？」

ウィンド「・・・」


スピア「正気だ。ま、お前がどう思っても、さ・・・
　　　　何というか・・・ほら。
　　　　ちょっと・・・な。」





リミテッド「・・・勝手にすれば！？」



リミテッドは何処かに走っていった。


ストーン「お、おい！！」


ストーン、カッター、エッジ、ランスはそれを追いかけたが・・・


スピア「・・・お前は？」

ウィンド「・・・正直、命を軽く見てる奴と一緒にはいたくねぇな。
　　　　　俺が言うのも難だが、失望的」








リバースのメンバーはそれを見ているだけだった。

いや・・・関わる事は出来ないだろう。


あっちの問題だ。ただ、それを誘発したのは・・・



悪霊「・・・」





悪霊の言葉が無ければ、これは起きていなかっただろう。


スピアはああいってるが、心の奥底ではおそらく悪霊に対しても、

多少の怒りを感じるだろう・・・




と、思われたが。


スピアは・・・


スピア「・・・おい。」

悪霊「・・・何だよ？まさか俺を攻める気か！？」





スピア「・・・ありがとう」







悪霊「・・・は？」





信じられない言葉だった。





その後、彼等は救助基地へ向かった。スピアとウィンドも一緒に行った。



そこでスピアは更に信じられない事を言ったのだ。