PAGE 13 遠く離れたある場所で。 ????1「ちっ、馬鹿共。遅すぎんだよ、全く…」 ?????1「はぁ!? 俺のせいじゃねーし! お前が無茶な予定を組んでるだけだろうが!」 ????2「あ、あの、喧嘩しないで…」 ?????2「無駄よ。こうなったらね… まあ、異大陸に渡る準備は出来た…新たなる冒険は目の前よ」 ????1「ところで、あいつはどうしたんだよ」 ?????2「彼女なら…先に渡っているって言ってたけど?」 ?????1「行動の早い奴だぜ…」 さて…舞台は戻って… スライサーは分厚いノートに何かを書いていた。 スライサー「今日は大陸北東部…樹氷の森及び、氷雪の霊峰付近の調査… 目立った収穫は無し…至って普通。」 ゼクティス「ん? 何だそれは?」 スライサー「これか? これは俺の日記だ…見てみるか?」 ゼクティス「見せてくれるのかよ。っていうかそんなの書いてたのか? じゃあ折角だから」 『21 E/W/1 大陸北部、北の山脈付近の調査…結果、収穫は特に無し。 しかし、レジスト曰く地質に少し異変があるらしい。 参考資料不明のため現段階では判別不能… それ以外は概ね良好。気候も安定している。 21 E/F/7 明日の予定:大陸北部、北の山脈付近の調査」 ゼクティス「…もっと細かくまとめてあるかと思ったら案外大雑把だな。 じゃなくて…これ日記か!? 後、F/W/1とかって何だ?」 スライサー「日記だ。多分。 F/W/1は、日付だ。俺の元いた世界においての、な。」 ゼクティス「そうなのか?」 スライサー「この世界は年・月・日で日付を現わすようだな。 俺の居た世界は、月・週・日で現わされ…」 ゼクティス「頭がこんがらがりそうだからそこはどうでもいい」 レジスト「何話しているんだ…日記?」 スライサー「ああ。日記だ。」 レジストはスライサーに日記(?)を見せてもらった。 レジスト「(何かが違うような気がするが…) 思いの外雑な書き方だな」 スライサー「そうか? これでも他の奴等に比べればしっかり書ける方なんだが…」 スライサーは深くため息を吐く。 他の奴等って… レジスト「…誰だ?」 スライサー「何か未だによく分からない力を持っている奴がいるんだが… そいつに日記を書かせたら 「眠い」「今日のスライサーはむかつく」「うおおおおおおおお! グゥラァンドフゥォォォォス!」 程度しか書いてなかった」 ゼクティス「(最後おかしいだろ…)」 スライサー「さて、今日は夜遅い、明日は少し遠出しようと思うから俺は寝る。」 レジスト「そうか…お休み。俺も寝るか…」 ゼクティス「俺は外でもう少し起きてるか」 と、ここでレジストはある事実に気づいた。 レジスト「外…? ここは雨に晒されるような場所じゃないか」 屋根なんて便利な物は無い。 スライサー「日記は耐水性抜群だからいいんだけどな…」 翌日…ザーザーと雨が降っている。当然こんな日は誰もまともに眠れない。 セレスタ「寒いです…風邪ひきそうです… ちょっと目眩がします…」 ブレイダー「何かボーっとしてクラクラするんだが気のせいか?」 レジスト「…休んでろ。木陰で。」 スライサー「遠出なんかしてられそうにないな…これじゃあ」 ゼクティス「最近何処にも行って無いし、世界一探検しない探検隊という記録でも残すか?」 スライサー「そんな記録残したくないんだが…」 このままだと辛いので、何とか屋根のついた建物が作りたいスライサーは、 レジストとその打ち合わせを始めた。 スライサー「まず材料だが…」 レジスト「鉄筋コンクリートか」 顔色一つ変えずにこんな所にある訳無い物質の名を口走るレジスト。 スライサー「あっちの世界からそんなもの持って来いと!? そんな事やってたら数年かかるだろう…!」 レジスト「まあ、木材で十分だろう。十二分かもしれないが」 スライサー「(こいつ何を言うにしても真顔だな…ある意味関心する)」 レジスト「そうと決まれば早速森林伐採だ…行くぞ」 スライサー「かなり嫌な言い方をするな… 最低限で収めないとな」 近場の森 スライサー「問題はどう切り倒すかだが…どうする?」 レジスト「…木の最上部を全力で蹴り飛ばせば根元から折れるだろう」 スライサー「折るってお前…」 レジスト「冗談だ、これを持ってきた」 レジストは鋸を取り出した。 スライサー「…まあ、それしかないだろうな。」 スライサーとレジストはそこから一日中木を切っては運んで切っては運んでいた。 スライサー「…思った事があるんだが」 レジスト「何だ?」 スライサー「この前野生のポケモンが宝箱みたいな物を落としたんだ」 レジスト「ほう?」 スライサー「そしてその中身を確かめてみたんだが、 「ピカチュウカード」なる物が出てきた」 レジスト「カード…」 スライサー「…誰が作っているんだろうな」 レジスト「いくらなんでも知らんぞ…」 スライサー「だが他の宝箱には更に衝撃的な物が入ってた」 レジスト「それは…?」 スライサー「「ピィのなみだ」…「ゼニガメのあわ」…」 レジスト「…お前、よくそんなの分かったな」 スライサー「突っ込み所はそこじゃないだろう、何故こんな物が入っているかだ」 レジスト「それもそうだな」 スライサー「だけどその次の宝箱にはもうそんなの気にならないほどの物が入っていた」 レジスト「それは、何だ?」 スライサー「「アチャモのけ」」 レジスト「毟ったの誰だよ」 スライサー「そして止めの「イーブイのお」…」 レジスト「……」 スライサー「…どう思う?」 レジスト「…むごいな、この世界」 スライサー「ああ…そうだな」 空気が重い… レジスト「……」 スライサー「……自分で話しておいて何だが今かなり怖い。 どこぞの悪魔よりよっぽど怖い」 レジスト「何を言っているか知らんが俺も今までにない恐怖を感じている…」 スライサー「…これを以前色んな奴に話したがどいつもこいつもさらっと流した」 レジスト「…そんな事が日常茶飯事とは恐ろしいにもほどがあるな… だが…恐れを抱くな。心に希望を持って生きろ」 スライサー「…そうだな。」 ただ、まだ空気は重いまま… スライサー「ところで、だ。その類の道具は関連した種族のみが恩恵を受けられるらしい」 レジスト「それは怨念か」 スライサー「有りそうだな…逆に恐怖のせいで強くなるとかか?」 レジスト「……憑依されていたり、な…」 …………… スライサー「後…そういった道具を別の道具とトレードする事も出来るらしい。」 レジスト「つまりそういうのを集めるコレクターがいるのか…えぐいな」 スライサー「……世も末か?」 レジスト「どうだろうな…」 夜中… レジスト「ブレイダー、ある程度は回復したか?」 ブレイダー「ああ…… っていうか突貫工事だな」 レジスト「まあ、天井を作っただけだからな。 これだけでもそれなりの効力はあるだろう。」 ブレイダー「でも、木材だけじゃ100%雨は防げないだろ? 何を使ったんだ?」 レジストはそこで深く俯いて静かに言った… レジスト「…木材を二層構造に敷き詰め、その間の部分に「アチャモのけ」だ…」 ブレイダー「!?」 スライサーとブレイダーはこの夜眠れなかったらしい。 レジストは大量のアチャモに袋叩きに遭う夢を見てうなされていた。