「俺の名はスライサー。
 今日は遠出する事になったため、準備中だ。」

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スライサー「遠くまで行くんだから、準備は慎重にな。」




ゼクティス「スライサー、バナナはおやつに入るか?」

セレスタ「水筒の中身はモモンの実のジュースでもいいですよね?」


スライサー「バナナ? 弁当箱の中に叩きこめば弁当、違うならおやつだ。
      水筒の中身は何でもいい。」



ゼクティス「よし、準備出来たぜ!」

セレスタ「早速行きましょう!」

スライサー「そうだな。

      …ん? 何かおかしい気がするが…まあいい。」




× 探検

○ 遠足


スライサー「…………」




そうして彼等は、南の方の海岸線にまで出てしまった。



セレスタ「さ、ささささささむいです!」


スライサー「大丈夫か…?」

セレスタ「さむいです! さむいです!」


ゼクティス「俺の気合が消火された…」

スライサー「あの遠足気分から考えて元から火が点いていないだろう」




そのままとりあえず休む事にした。

寒いので、焚き木をする事にした…。




三体で火を囲んでいた。


セレスタ「暖かいです…癒されます…」

スライサー「癒され…?」


ゼクティス「火の中にダイブするのか!?」

セレスタ「ゼクティスがダイブしてて下さい。
     わたしはそこにたくさん水をかけてあげますから」

ゼクティス「そんな気遣いは結構だぞ…」


凍えさせる気なのだろうか。



スライサー「…なあ、知っているか?」


セレスタ・ゼクティス「?」


スライサー「ちょっと変な話をしてしまうが…
      火と言うのは、様々な物を燃やす物だ。
      火は何かを破壊する」

ゼクティス「そうだな。だけどそれがどうかしたのか?」


スライサー「だけど、火というのは、生命の象徴でもあり、「作り出す者」でもある。
      事実、文明と言う物は火をもって発展してきたとも言える。」


セレスタ「…「作り出す者」…」


スライサー「…俺の火も、何かを作り出せるだろうか」


突如語りだされた事。

彼は、その火を見つめつつ、話していた。

同時に、自分をも見て…。



ゼクティス「さあな、それは分からん…というか俺にはよく分からん」


スライサー「いや、分からなくていいさ。
      …これは一つの価値観、限定された者じゃないからな…」


セレスタ「…でも、何で突然そんな話を始めたんですか?」


スライサー「いや、な…
      「希望」という火が「未来」を作れるかどうか…そんな事を考えてみた。
      それだけさ」


セレスタ「「希望」の火が「未来」を作る…何だか素敵ですね」


スライサー「素敵、か。
      そううまく行くか…」

セレスタ「行きますよ、だって…」


スライサー「…?」





その先を、彼女は話さなかった。

スライサーは追及しようとはしなかった。

いずれ分かるだろう、と…




結局彼等はその日は眠ってしまった。

彼が朝起きた時には、火は消えかかっていた…


その種族特性上、火は簡単につけられるはずだが、スライサーはあえて原始的な方法で再び火を点けた。


しかし、非常に素早く火は点いた。




スライサー「…さて、しばらく経ったら探索開始だな…
      自然環境の調査なども行いたいところだが…」



ゼクティスはたたき起こしてもよかったが、

セレスタは幸せそうに眠っていた。


彼女はスライサーにいつの間にか寄り添っていたのだが。



そんな彼女を無理矢理起こすのも気がひけた。彼はもう一眠りし始めたのだった…