第1話 出会い


ある、海岸で・・・。


???「・・・何も分からない・・・
    記憶が何処かで抜けているような・・・
    それに・・・俺は人間だったはずなんだが・・・?」



彼は、一人・・・いや、一匹でつぶやいていた。



彼の名はディル。人間だったらしい。

だがそれ以外が分からない。


ディル(ピカチュウ)「・・・考えても無駄、だよな・・・これじゃあ・・・」




自己解決。解決してないけど。


そして彼は考えるのをやめた。








????「ふう・・・やっぱり1匹じゃ無理だよね・・・あれ?
     この海岸に誰かいるなんて・・・」




ディル「ん?
    誰かって・・・俺の事か。」


周りを見渡しても誰もいない。つまり、



????「うん、君だよ。
     一体誰?」


ディル「俺はディル。に・・・」


彼は自分が人間だと言おうとしたが、

混乱を招くかもしれないのでやめた。



????「に?」

ディル「いや何でもない。で、お前は誰だよ・・・」


????「わたしはソフィー。ここで会ったのも何かの縁だよね、よろしく!」


ディル「あ、ああ・・・」




いきなり「何かの縁」と来た。



ソフィー(チコリータ)「で、ここで何してるの?」


ディル「何って・・・気がついたらここにいた。何も分からない。」


ソフィー「海の上で遭難でもしたの?」

ディル「いやだから何も分からないって」

ソフィー「じゃあ誰かに殺されかけたりでもしたの?」

ディル「いやだから何も」

ソフィー「じゃあ転んで頭打っちゃったの?」

ディル「何処のコントだよ」

ソフィー「じゃあ」



ディル「だから何も分からないんだっつーの!!」




怒った。


ソフィー「あ、そうなの?
     じゃあ、記憶喪失?」


しかしそんなの気にしないかのような口調。

ディルは一瞬で気が抜けた。



ディル「・・・ぁぁ」


目が覚めていきなりこんな状況である。

ちょっと一人(一匹)になりたくなってきたディルは、

何を言っても動かなそうなソフィーに、しょうがないので、



ディル「俺は人間だ」

と言ってみた。



ディル「(いくら何でもこれを聞けば驚くとかするよな・・・)」




ソフィー「あ、変身しちゃったの?
     姿も変わって記憶も失って?」









ディル「(こいつは・・・何?)」



驚くも何も無いいたって平常な反応をしたソフィー。

こんな感じで妙な話が数分間続いてしまう。







ディル「・・・で、
    お前は?」


ソフィー「え、わたし?
     わたしは、疲れたり悲しいことがあったり、
     その他色んな時にこの海岸に来るの」



ディル「(つまりよく来るんだな)」







ソフィー「で、今日もここに・・・」





そこへ、何者かがやってきた




????A「おっと!」


ソフィー「え?・・・いたっ・・・
     な、何?」


ディル「(あまり大きい反応をしないんだなこいつ。と、それはいいとして・・・)
    誰だお前らは?」





????B「お、こいつなんかお宝みたいなのを落としたぞ」


????A「おお、本当じゃないか!」



そこにいたのは、ドガースとズバット。見た感じ、不良な感じ。



ソフィー「あ、それはわたしの・・・」



ドガース「返して欲しいのか?返して欲しいなら力づくでやってみろよ!」





ソフィー「力づく・・・?」


ズバット「返して欲しいならな!」




しかしソフィーは動かなかった。


ドガース「おやぁ〜?
     怖くて動けないのかなぁ?」


ズバット「じゃあこのお宝はいただいていくぜぇ!
     返して欲しけりゃ追いかけてきてみろ、ヨワムシくん×2!!」




ディル「俺もかよ!!」



とばっちりで不名誉なレッテルを張られた気がする。

ディル「ふざけるなよ・・・」





ドガースとズバットはその海岸の先にあった洞窟へ逃げ込んでいった。




ディル「お、おい・・・お前の宝らしきもの盗られていったぞ?」



ソフィー「・・・うーん・・・
     ヨワムシ、かぁ・・・
     わたし、あまり戦ったりしたくない・・・」


どうやらちょっと怖いらしい。



ディル「まあ・・・そりゃそうだろう。
    じゃあ代わりに俺が取ってきてやろうか?

    ここで会ったのも何かの縁なんだろ?」




ソフィー「・・・取って来てくれるの?
     うーん・・・でも、それは、ね。
     あれはわたしのものだからわたしが取り返さなくちゃ・・・
     あ、でも手伝ってくれるなら手伝ってね!」




ディル「ああ。
    俺も何気に不名誉なレッテル貼られたからな・・・
    返上しないとな」




そうして、ディルとソフィーは海岸の洞窟へと入っていった・・・。