(更新の間が空き過ぎているので)ここまでのあらすじ ・プクリンのギルドは遠征に行った ・ディルだけ遠征メンバーから外れた ・「まあいいや……」 ・ディル、勝手に行動する ・グラードンの像を発見する 第12話 揺らぐ大地 刻む時(中編) グラードンの像。 この恐ろしげに見える物をうまく使えば、来た面々を追い払えるかもしれない… 悪役である。どう考えても。 しかし興味が逸れた ディル「ん? 何だあの穴は」 霧が立ち込めている中、ぽっかりと開いた穴にふと気がつく。 熱水の洞窟…少し耳に聞いたそれだと理解するまでに時間はかからなかった。 ディル「……行ってみるか」 洞窟の中は熱く、名前にある通りに熱水が辺り一面に広がっていた。 火山か何かが近くにありそうな訳でもない。 なら、何故熱水が溢れているのか…分からなかった。 しかし、熱くはあるがディルにとってはそれほど脅威となる物でも無かった。 洞窟は下ではなく上へ上へと続いているようであり、 ディルは登るための道を見つけては一段ずつ上がっていった。 洞窟をある程度進むと、開けた場所に出た。 洞窟の道中ではここを住処にしているのであろうポケモン達に襲われたが、 どうやらここにはそんな気配も無い… ディルは少し疲れたので一眠りする事にした。 さすが寝苦しかったが。 ……聞こえるか? ……ディル…聞こえているか? ディル「…?」 自身を呼ぶ声に気が付くと、そこは洞窟の中では無く、もっと別の場所… 少なくとも、見た事が無い――忘れているのかもしれない――何処か。 ディル「誰、だ…」 ?????「聞こえているようだな… お前は忘れているかもしれないが… お前には今、為すべき事が…… ……」 ディル「……」 目が覚めた。 そこは眠った場所。熱い、洞窟の中。 ディル「……聞き覚えがあるな。 記憶喪失を取り戻させてくれればいい物を」 不審に思う事も無く、再び彼は洞窟を進み始めた。 また、洞窟をある程度進むと光が差し込んでいた。 どうやら、外へ出るらしい。 ディル「終わりか? 何も無いのか?」 しかし外に出て目にした光景はとんでもない物だった。 ディル「…は?」 目の前に、いた。 像が。いや、違う。 洞窟に入る前に見つけたあの像のポケモン…グラードンが。 ああ、これはさすがに面倒事だな…と、彼は己の不運を諦め、戦闘態勢を取った。 一方、プクリンのギルドの方もあの像の周囲を探索していた。 ソフィー「今頃、ディルはどうしているんだろう?」 ファング「きっと寝てるさ!」 ソフィー「イメージおかしいよね?」 その時、後ろから誰かが声をかけてきた。 ????「おい」 ソフィー「? ああ…あのズバット?」 開始早々に可哀想な目に遭っていたドクローズのズバットだった。 ファング「えっと…思い出した! 可哀想なズバット!」 ズバット「忘れられてたとか…何これ、新手のイジメ? いくら最初の印象が最悪だったからって ドガースに比べてここまで差があるのは酷過ぎる!」 ああ、きっとこいつはこれからもずっとこんな扱いなんだろうなって。 ソフィーは感じたけれど声には出さない事にした。いくらなんでも悲惨。 ソフィー「えっと。それで、どうかしたの? 他は?」 ズバット「はぐれた」 ソフィー「超音波使って探すとか」 ズバット「見つからなかった」 ソフィー「……」 ズバット「そういえばお前らのお仲間を途中で発見したぞ」 ソフィー「…え?」 ズバット「あのピカチュウ。」 ……劣勢。 相手は間違いなく大物。 ディル「……相手をよく見るべきだって事か」