第66話 毒ガス鉱山クライシス

「題名から既に危険な予感…」

「何言ってるんだラファエル?」





スライサーと空間天使一行は噂の鉱山にやって来た。



「よし、早く中に入って珍しい鉱石をザクザクとろうぜ」

「ミカエル…ザクザクとってどうするんだ?
 ボルトに渡す分さえ確保出来ればいいだろ?」


「馬鹿か!
 いい鉱石をたくさんとって余った分で武器を拵えるのさ!」




ラファエルとガブリエルは呆れていた。



ミカエルは早速中に特攻して行った。




「ぐわあああああああああ!」



「って、おい!?」


いきなりのミカエルの悲鳴に焦るラファエル。

中で一体何があったのだろうか?



「ど、どうするんだ…? それぐらいやばい毒ガス…」

「宝石ってあるかな?」


アナエルがまるで危険さを理解していない。

オリフィエルは逆に出来る限り鉱山の入口から離れている。




「しょうがない、俺が先に行こう…」

ラファエルが鉱山の中に入って行った…




鉱山内


「ミカエル? ミカエルー?
 どこだー? 返事しろ…?」



ふと目の前を見ると巨大な穴が開いている。


「…落ちたんだな」

ラファエルはあっという間に結論を出すと、その穴に飛び込んで行った。




後ろからは…


「あれ、毒ガスなんて無い」


「オリフィエル…所詮噂だから。」

「くくく…ビビリだな」

「宝石ってあるかな?」


「この面子だと誰が言ってるかはっきり分かるな…って、スライサーは?」





外

「時には危うきに近づかないのも知恵、ってな」



再び鉱山内


「くくく…来ていないようだな。
 まあ、飛空挺の見張りも必要だろう…くく」


「サマエル、「く」は一日三回まででどう?」

「くくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくく
 くくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくく」


はっきり言ってうるさい。

嫌がらせか、こいつは。


と、その時…彼に突っ込むかのように



「くくく…ぐふっ!」



上から岩が降ってきた。


「うおっ!?」


「い、岩…?
 この鉱山…思っているより更に危険そう…」



「苦苦苦…」

「「く」って便利だな、おい」




「オリフィエル。これを見て」

「ん?」


ふと、ガブリエルが何かを発見した。



それは、線路のようなものだった。


線路の先は岩で埋まっている。

かつてトロッコでも走っていたのだろうか?



「この先に何かある…と思う」

「なるほど。でも…周りごと崩れて俺達が生き埋めになる、なんてオチにならないよな?」


「…大丈夫だと思うけど…多分。」




「じゃあ…崩してみるか?」


オリフィエルは風を纏った剣…「風剣ティルヴィング」を振りかざし、真空刃を発生させた。


岩が真っ二つに斬れる。




斬れただけで別に道は開けなかった。



「…ぴったり埋まってるとこうなるんだな」

「もう一回やればきっと、どうにかなるかも。」


「…そうか?」


するとその時、四人とは別の声が聞こえた。



「…風の通りがさっきからあるから、別の道があるはず…」


「…え?」

「ティルヴィング、久しぶりに喋ったか…」

「くくく…出番抹消されなくてよかったな…」



「困ったらオリフィエルを乗っ取ればいいから」

「サラリとそんな事言うなよ!」



さっきからまるでコントのようなやり取りが続く。


その後、彼等は別の道について考え始める。





一方、穴の下では…



「深いな…」


ラファエルは、周囲に注意しつつゆっくりと穴を降りていく。


天使には翼がある。だからこんな穴はあまり警戒しすぎる必要は無い。



ただ、ミカエルは、あまりにも唐突に落ちてしまったので飛ぶ余裕無く地面に激突した可能性がある。



そう、ラファエルが考えていた時、周囲の空気が変化した。


「これは…毒ガスか…?」


周囲に紫色のガスが立ち込める。

これが噂にあった毒ガスだろう。


「…結構濃いな…人間なら即死か……?
 いや、穴に落ちてる時点で人間なら即死だろうけど。」



更に注意して降りていき、ようやく地面が見えた…



そしてミカエルは地面に埋まっていた。






「……へぇ、こんな事もあるんだな」

「納得してないで引き抜いてくれないか?」





上では



「きっと、この穴の先に…」


「お、おい…この先がつまり噂の毒ガス地帯…」

「宝石あるかなあ?」

「くくく…なかなか刺激的な穴だ…」


何がだよ。




「毒ガスがこの先にあるとして…そのまま行ったら死ぬ…
 つまり、ここで引き返すしか」

「この先にミカエルとラファエルも行っているはずだから、早く行かないと…」





と、その時!


「うわっ、地震か!?」


「これは!?」




急に地面が揺れる。

かなり大きな地震…そして!



「納まったみたい。…あれ!?
 入口が岩で埋まっちゃってるよ!?」


「え!?」

「何だと!?」



真っ先にアナエルが異変に気づき、ガブリエルとオリフィエルはその異変に驚く。


「出口が塞がれた…!」


「くくく…まずい事だな。」




外


「入口が崩れた…!
 まずい…! 何とかしてこの岩を取り除かないと…」




鉱山内


「もうこうなったら、本当に進むしかないみたい…
 出口が一つとは限らないし…」


「そ、そうだな…でも毒ガス怖いな…」

「…毒ガス吸い込んだら、死んじゃうかな…?」


「大丈夫、アナエル…それにオリフィエルも。
 わたし達…天使が毒ガスだけで死ぬはず無いから。ね?」


ガブリエルは二人の恐怖心を取り除こうと言葉をかける。


一方、サマエルは…


「くくく…回転ダイブだ!」



回転しながら穴に飛び込んでしまった。





「オリフィエル…風の力で…」


「風の力?」



ふと、再びティルヴィングが声を出す。

風の力…


「…ああ。なるほど…そうすれば問題無い!」




一方、アナエルはガブリエルの言った事を信じ、慎重に穴を降りて行った。


ガブリエルはオリフィエルにもう一度言葉をかけようとするが…




「これなら問題無い! 行くぜ!」



何と彼は強烈な風圧を纏い、穴に飛び込んだ!


「え!?」



少し慌てつつも、ガブリエルも穴を降りて行った。



毒ガス地帯に入った時、ガブリエルは納得した。


「…風圧で毒ガスを吹き飛ばしてる…
 確かにそれなら全くと言っていいほど問題は…」




「オリフィエル、ずるい!」

「ずるいって…使えるものをたまには有効活用しないと、
 使う所が無くなる! 戦闘において一番悲惨な目に遭いやすいのって俺だし…」



「くくく…つまり役立たず」







「吹っ飛べ!」

「吹き飛んで!」



気づいたらサマエルは壁に埋まっていた。






「ちょっと…コントやってる場合じゃ…」





地面付近



「ようやく全員来たか…」


「こいつ抜くの手伝ってくれ」






ミカエルはまだ埋まっていた。




外


「…………」



カンッ カンッ カンッ


つるはしの音が響き渡る。






スライサーの行動は正直な話、無駄なんじゃないだろうか。



と、その時…周囲に旋風が巻き起こる…同時に、上方から何かが降りてくる!


「っ、何だ!?
 …あれは、飛空挺!? 何所の飛空挺だ!?」




「スライサー!」



「ソ、ソル!? それは一体!?」