第67話 毒ガス飛空挺クライシス? 「ソル、それは一体…?」 スライサーは、青い飛空挺を見て驚きつつも、冷静に聞いた。 「ああ、貰ったんだ」 「ボルトから、か…」 だが今はそれをどうこう言っている場合ではない。 とにかく塞がれた入口をどうにかしないと… 「この岩盤をどうにか出来ないか…? 天使達が閉じ込められた」 「え…出れるだろ、あいつらなら」 「…?」 ソルはさらりと言った。 「「空間」の天使、だろ? あの力であっさり出られるんじゃ…」 スライサーは思った。 ソルはたった今、真理を突いた、と。 だが同時に問題もあった。 「だが、この鉱山には毒ガスが溢れているという話だ。 あいつらの力で出口を作り出したとしても…場所によっては毒ガスが外に出てくる可能性がある」 「…それは、あいつらの思いついたタイミング次第だろ?」 そうやって話しているうちに、ふとスライサーは疑問がわいた。 「誰に聞いてここに来た?」 すると、飛空挺からライトが出てきた。 「ボルトに聞いたんだ…うぐ…」 「また酔ったのかお前は」 鉱山内 「ようやく地面から解放されたぜ」 ミカエルは地面から抜けた。 結構奥深く刺さっていたので少々時間を費やした。 「一般人ならこんな毒ガスだらけのところで人命救助なんか出来ないだろうな… 助ける前に死ぬからな」 「刺さってる奴も即死だろ」 「ところで、宝石無いかな?」 「くくく…もう宝石なら宝石店で買え! ここから早く出せ…!!」 サマエルが先程壁に埋められてから、げんなりしている。 「サマエル。我慢」 ガブリエルがサマエルをなだめようとする。 「さっきのは少しむかついたから吹っ飛ばしただけだぜ? だから俺は悪くない。と思う」 「お前が悪い」 ラファエルの突っ込み。まああそこまでする必要は無かっただろう。 「ところで、さっき埋まっている間に先に進む道が見えたんだが」 「え…まだ奥に行くのか? これ以上濃い毒ガスがあったら…」 「まだ鉱石・金属の発掘が全然出来ていないからな。 穴掘り道具ならたっぷり持ってきたけど」 ミカエルは荷物から大量のピッケルを出した。 壊れる事前提か? これは…… 「…こんなにたくさん持ってくるとか、どこぞのハンターのノリだな」 「悪いか?」 「荷物かさばるだろ…第一どこにこんなのを持っていた」 そしてミカエルは言った。 「空間の裂け目を作り出して取り出した。 レッドオーシャンに積んどいたんだ」 「待った」 「どうした?」 ラファエルは嫌な予感を感じる。 「まさか…」 ガブリエルもその嫌な予感を感じ取った。 他三人も嫌な汗をかいていた。 「毒ガスがその先に漏れていたりして…」 外 「さて、飛空挺のメンテナンスでもやっておくか。 お前達のも見てみたい」 「スライサー、メンテナンスなんて出来るのか?」 「俺はこの世界最大の名門大学に行っていた」 この世界にも学校があるのである。 大体は知っている通りの仕組みである。 「大学って何だ?」 「えっとだな、小学校、中学校、高等学校、そしてその後大学だ。 本来なら計15、6年かかる訳だが…飛び級し続けて8年で全部終わらせた。」 「へぇ…」 いつの間にか飛空挺から降りていた焔火が素直に感心するように声を漏らした。 「どんな方向性で?」 「方向性?」 「どんなのを主に勉強したんだ? 大学で」 「全部」 「は?」 「その大学の全てのカリキュラムを終えた。 一つ残らずな」 「何だそれ…おかしいだろ」 「へぇ、で、大学って何だ?」 「まさか根本的な事から説明しろと?」 「学校、かぁ…俺、小学校の途中で街潰されてそれ以降何も勉強なんてしてないや」 「そういえばライト…お前の妹、やたら頭いいな」 「え? エリアス…アナエルがそんなに頭いいか?」 「俺の知らないような知識もいくつか知っていた…全体的に言えば負けていないと思うがな。 …とはいえまだあいつは子どもだろう、どれだけ知識を溜めこんでいるんだか。」 「そ、そんなに頭いいのか!? あいつ…俺が見てきた限りそんな極端には…」 「だが相当なものだったが?」 「マジ…か…って、 そういえばあいつこの鉱山の中にいるのか!?」 「…そうだな」 「エリアアアアアアアアアアアス!! 返事しろおおおおおおおおおおおおお!!」 ライトが狂った。 「大丈夫だろう、あいつも一応天使だろう?」 「エリアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!! 返事しろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! エリアスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」 「何言っても無駄な気がするんだけど」 ソルは多少引きつつも言った。 気付かないうちに飛空挺から降りていたエストレアもさすがに引いた。 スライサーはもうライトを無視してメンテナンスに入った。 「ん?」 …スライサーの乗ってきた赤い機体…レッドオーシャンの異変に気づいた。 「何だこのガス…」 飛空挺のハッチを開けると…ガスが溢れ出して来た。 同時にスライサーは、奥の空間の裂け目を見た。 「あの馬鹿野郎…!」 鉱山内 「ミカエル…後でスライサーに殺されるぞ…」 オリフィエルは彼の身の心配をしていた。 「やばい、すごく出るのが怖い」 レッドオーシャン 「誰だ、毒ガスが充満している所で飛空挺内に裂け目を開いた馬鹿は!」 スライサーでもキレた。 「お、おい、これどうなってるんだ!? スライサー!」 「とにかくまずい事になったって事だ!」 スライサーは裂け目に向かって叫んだ。 「早く閉じろ馬鹿野郎! 殺す気か、貴様は!? ミカエル!!」 こういう事をやりそうなのは間違いなく彼だろう。 そしてこの叫びは非常によく通り、周囲を揺るがした。 鉱山内 周囲を揺るがした叫びは彼にも届いた。 「怖い!」 ミカエルは裂け目を閉じた。 というより何故開きっぱなしにしたんだ。 「ミカエル…死の恐怖を味わった気分はどうだ…くくく」 「すごく怖かった」 トラウマ化した。