第68話 失踪



鉱山内、深部


「これぐらいか…」


ラファエルは、袋一杯に詰まった鉱石を見て言った。

精錬すれば、相当な量の金属が出来る。

それも、最高級の物が出来るだろう。



「これだけあれば余るぐらいだ、さっさと送ろうぜ!」


「じゃあ、外に出ないと…あっ!」



ガブリエルはある事態を思い出した。



「入口が落盤で塞がれ…」


「裂け目を開放!」

「って、待って!
 また毒ガスが外に漏れてスライサーの怒りを買ったら…
 ミカエル、死ぬより恐ろしい事態を味わうかも…」





気付けばミカエルは震えていた。



戦慄のスライサー。





「やめておこう…どうする?」


だが、出口は塞がっており、正規の方法では出られそうにない。


「くくく…なら、毒ガスが無い所を探すまでだ」


サマエルのもっともな意見であった。



「じゃあ、入口付近まで戻る?
 穴の上は毒ガス無かったよね?」


アナエルは小さな宝石を持っていた。


たまたま掘り当てたらしい。




「そうだな、あそこなら問題無いだろ。」


オリフィエルは収穫が無かったらしい。

それどころか全身汚れている。





回想



「この辺を掘るか…何か出るかな」

カンッ


ガラガラガラガラ!



と言う訳である。






「そうだな、それが一番簡単だな。
 よし、戻ろう。」




そう言って、一行は来た道を戻っていく…



が。





「オリフィエル…待って」

「どうした、ティルヴィング? 何かあったのか?」



「グラム…」



「…何だと?」





「どうしたんだ、オリフィエル? 立ち止まって…」


「悪い、先に行っててくれ。俺、ちょっともう少し奥に何か無いか探してみたいんだ」




オリフィエルはそう言うと、更に奥へ進んで行った。


それをいぶかしげに見るミカエル。

「…毒ガスだらけの所から出たいんじゃないのか?」






オリフィエルは、鉱山を疾走した。


ひたすら奥へ進み続ける。



途中から毒ガスも薄れていき、遂には完全に視界が晴れた。

とはいえ、鉱山の奥深く…暗い。



だが、足を踏み外したりすることも無く走っていくのだった。





レッドオーシャン


「スライサー、大丈夫なのか?
 それ、毒ガスなんだろ…?」



「メンテナンスに危険はつきものだ…ゴホッ、ゴホッ…くそっ…」


そこへ、裂け目が突然現れる!

「うおっ!?」

ソルは目の前に唐突に現れた裂け目に焦る。


「まさか、また毒ガスが溢れたりしないだろうな…」

スライサーは多少イライラしている。


「戻ってきたぜ!」


「ミカエル…今度は毒ガスの無い所でやったようだな。感心だ。
 …ん?」



一人いない。

「オリフィエルは、どうした?」


「それが…あいつ、何故か奥の方に行っちまったんだ。先に行っててくれ、って。
 毒ガスだらけの所から早く出たいはずなのに、何でだか…」



「…追いかけた方がよかったんじゃないか?」


「…そうかもしれないけど…すぐ戻ってくるだろ。

 …で、お前らは何で?」



ミカエルはソル達を見て言った。


ソル達は、ミカエルの荷物を見ると、焦った。




自分達は何をしに来たんだ。




「たまたま通りかかっただけさ!
 飛空挺貰ったから…」



「ああ、そうなのか」


ミカエルは納得した。



その後、天使達一行はレッドオーシャン内の寝室に入って行ってしまった。




ただ…


「エリアスウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」


外で叫んでいるライトに、アナエルが反応した。




「どうしたの、兄さん?」



「エリ…って、え?」




ライトは、アナエルを見た。


自分の妹の、エリアスを。





「戻ってきてくれたんだな!? よかった!」

ライトはその後号泣した。


「兄さん、大丈夫? 少し落ち着いて、ね?」






鉱山最深部



「はあ…はあ…見つけたぜ…」

「やっぱり…」





オリフィエルは、目の前の光景…鉱山内だと言うのに颯爽と生い茂る木々…


そして、その中心にある一本の剣を、見ていた。






3日ほど経過した頃、センクレイス城…


「…大分、補強も進んできたな。
 だが…」



ボルトは、天使達について気がかりな事があった。



あれから、オリフィエルが戻ってこない。




ラファエルは、ガブリエルと話をしていた。

「オリフィエルは…まさか、鉱山が崩れて生き埋めにされたんじゃないだろうな…?」


「でも、埋められただけなら空間の力を使えば…」



そうなると、一つ、嫌な考えも浮かんできた。


「…即死、とか無いだろうな…?」



それだけは絶対にあってほしくは無い事だった。


「…そもそも、オリフィエルがあんな所に好んで居たがるとは思えないけど…」


「確かにな…昔…とは言っても俺達にとってはそれほど昔とも言えないが…
 まだあいつが天使では無かった頃…ミカエルと共に一時期行方不明になる前でもある事…」




回想


「あいつ、転んだぞ…」

「…大丈夫?」


「うわっ! 砂付きすぎ! やばい! 殺菌消毒しないと!
 っていうか洗わないと! 即座に!」


「落ち着け!」




回想終了



「…と言う事もあったからな」

「(あった…かなぁ?)」




彼は砂が付いたりするのが大嫌いらしい。






「そんなオリフィエルが、あんな所を自分から探索しようとするなんて…一体何が?」


「…そういえば、戻る直前、あいつの様子が少しおかしかった」



ラファエルはそう言った。


ガブリエルはどういう事かを聞いた。



「どういう事かって…?
 …よく聞き取れなかったが、ティルヴィングに何か言われていた。

 グラム…だとか何とか。
 重さを量りたいのか?」


「そんなベタなボケいらないよ

 …とりあえず、わたしはあの鉱山にもう一度行ってくる…
 場所は覚えたから、空間の力で行けるはず…」



「ああ、頼む。俺も少し探してみる」






鉱山最深部


「…いない」


ガブリエルは鉱山の最深部まで到達したものの、そこに彼はいなかった。


「一体何が………?」


ふと彼女は、虹色に輝く宝石が落ちているのを見つけた。



「綺麗…でも、こんな物が何で…?」




そう言いつつもガブリエルはその宝石を拾った。


その宝石が重要な鍵だとも知らずに。