第69話 神剣の過去 「おい! しっかりしろ! 死ぬな、死ぬなああああああ!」 「そんな! 駄目! 死んじゃ駄目…!」 「二人とも、早く逃げるんだ! あいつは我等に望みを託し、散った…それを悲しみで無駄にする気か!」 「く…! くそっ…許さねぇ…許さねぇ、絶対に許さねぇぞ、貴様らアアアア!!」 「はっ…」 「…起きた? オリフィエル…」 ある場所、ある日、オリフィエルは最悪の目覚めをした。 「あの夢だ…全く…嫌な事を思い出させてくれた」 「オリフィエル…実はわたしも…」 …その夢は、悲しみと、そして怒りの夢。 十四の存在の悲しみの夢…… センクレイス城の一室… そこに、過去、ソル達の手に渡った神剣が保管されていた… むしろ、そこにそれらの神剣が住んでいた、とでも言うべきか… 「…デュランダル?」 そこにいたのは…炎剣レーヴァテイン、雷剣ラグナロク、空間剣デュランダル。 ただ、いずれも剣の姿をとっていなかった。 「…あの夢を見た。 我等神剣と…そして、奴の怒りの夢…」 「私もその夢を見た…」 レーヴァテインは、静かに言う。 「ラグナロク、お前も見ただろう…?」 「…その通り。 よく分かっているじゃないか?」 レーヴァテインは、これまた静かに言った。 「…いつからの仲間だ? それぐらい分かるに決まっているだろう… …そろそろ、揃う時だな。」 「…そうか?」 デュランダルは、感慨深そうに言った。 「我等は長い時を超え、「再び」この時代へと戻ってきた。 今こそ…集結の時だ」 彼がそう言うと、三人は静かに部屋を出て行った。 その頃…またある場所では。 ソル達の…主にライトの仲間の一人である、フリーズがやけに難しそうな本を読んでいた。 その傍らにある物…それは氷剣クラウソナス。 彼が物心ついた時から一緒にいた存在である。 ただ、その経緯は分からない。 「…この言語、普通の言語じゃあないな…」 「何だあ? その本…読めんぞ」 「…これは天使言語というらしく…ミカエル達の言う事には、 そのまま…遥か昔、天使達の使っていた言語らしい… 少し、解読は難しいが、俺はこういうのには精通している…自分ではそう思っている」 本には、見た事も無いような文字が大量に書かれている。 また、所々にフリーズが書き足したのであろう文字がある。 解読した部分だろう。 「へぇ。マジか?」 「…ただ、全部は読めないな。 通常の言語との共通点から探っていくしかない以上、ページによっては全く読めない」 「そうなのか」 「ただ…少し興味深い記述を見つけたぞ…これを見ろ」 「んん?」 そのページもやはり見た事無い文字ばかりである。 しかし…フリーズが書き足したであろう文字の中に… 「この辺りの解読…少し気になったから数日続けているが…これは神剣の記述か?」 「レーヴァテイン」や「ティルヴィング」…「ラグナロク」「デュランダル」 それに…「クラウソナス」 「うおっ!? 何でそんな文字列が!?」 「お前達は遥か昔からの存在だろう…? なら、神剣のどれかが天使に行き当たっても不思議じゃないだろう?」 だが、フリーズは…クラウソナスの異常な取り乱しっぷりを見逃さなかった。 「…それとも、知られては不味い事でもあるか…?」 「い、いや…」 「…そして、俺は遂にこの部分を解読した…これを見ろ。 「神剣を作り出した者は神にあらず…」」 「……」 「人の手で作られた…そう書かれている。」 「……いや、それが?」 「以前…奴が…ミカエルが俺に一つ言った事がある。」 「…? っつーかいつ会った?」 「数日前辺りばったりと、な。 オリフィエル…つまりウィンドを探していたらしい。 失踪したとか言っていた。」 「…失踪?」 「…その時、あいつに少し聞いたのさ。 …あの時、お前は寝てた」 「マジで!?」 その時の事… 「…奴に…オリフィエルについて、何か思い当たる節は無いのか?」 「いや…特には…ん?」 ミカエルは、ふと、フリーズが腰に提げている剣…クラウソナスを見た。」 「そうだ、そういえばあいつ、神剣について何か知ってるらしかった。 まあ、ティルヴィングの知識だろうけど。 俺もあいつに色々知識教えた事あるし。」 「…そう、奴は神剣について何か知ってるらしいな。 お前は、逆に奴を知っているか?」 「…………い、いや。」 「そうか。分かりやすい嘘だ…」 「いっ!? 何で嘘になるんだよ!?」 「分かりやすすぎるんだよ…お前は。 …本当の事を言え…さもなくば、貴様を潰す」 「ま、またまた冗談を…」 しかし、フリーズの目は本気に見えた。 いつものような、冷酷で…感情が存在するのかどうかすら定かに見えない目。 その目で語っていた。 言わなければ本気で潰す…と。 「…マジかよ、正気の沙汰じゃねぇぞフリーズ…」 「何とでも言え。 俺は俺の思う正義のためなら俺の事を仲間だと思っている奴等…ライト達の事も利用しよう」 「人…っていうか剣一つ潰そうとして正義を語るかお前…」 さらりとやばい事を言うフリーズ。 「…いいよ、じゃあ語ってやるよ。」 「何だと…?」 「これ以上詳しい事は言え無いけどな」 「…まさか、あの事件か…? かつてスノークリアで起きたという大虐殺の話…」