第71話 ブレイド・コア


フリーズは本の解読を進めていた。

そして途中思った。

「…よく考えれば、奴等に聞けば一発じゃないか…
 自分で解読する必要性はそこまであったのか…?」


それでも彼は一人黙々と解読を続けたのだった。




その頃……スノークリア城…その何かがかつて起きた場所で……




「…みんな来た?」


王女…クリアハートは、十人もの客を前に言った。


この国の女王が死した後、事実上、国を動かしている者はいなかった……




「…クラウソナス、村雨、ミスティルテイン、エクスカリバー……」


「…四人いないって事?
 一体何所に?」




十人の内…黒いローブに身を包んだ男がクリアハートの質問に答えた。

「クラウソナスはこいつの今の知り合いの一人の場所らしい、が。
 他二人は知らんな…」

彼はある人物を指差して言った。


それは…オリフィエルだった。

「そう言う事さ。」



「…そう。
 …でも、何でいきなり…?」



その質問に答えたのは銀色の髪の、眼帯を付けた男だった。


「それは運命の導き…再びこの時代に再会する…それが真実」


更にそれに続き、まだ子ども…それも10歳程度かそれ以下と思しき者が言う。

中性的な見た目をしており、性別が判断できない。


「……僕達、十三の神剣が時を超えてから、
 ある人は数年、またある人は数億年ぶり…そんな再会!
 きっとみんな会いたかったんだよね!?」




「ははっ…二人とも、自論をありがとう」


その二人の言葉にほほ笑む、次の一人。

青…というより蒼い目をしたその女性は、その二人からクリアハートへと向き直る。


「あたしは後者を押すけどね。
 あたし、さみしかったんだよ! ほんっとうに!」



「…そう。
 わたしにとってはそこまで長い時間じゃなかったけれど。」



そして更に口を開いた………ティルヴィング。







一方…その時刻、スノークリア城の前に飛空挺が降りてきた。


紅い機体…レッドオーシャンが。

「着いたぞ…」

スライサーが三人の天使に言う。


ミカエルがここに向かう様に言ったのだ。


「ミカエル…どういうつもりなんだ?
 何故ここに?」


「その…な。
 ここの王女とは知り合いなんだが…
 オリフィエルの奴、その王女とやけに親しくてな。
 以前、センクレイスとラーファスの戦争があったんだが…お前らは知らないと思うけど。」

「知ってる」


ガブリエルは即答した。


「…そうかいそうかい
 …で、その時、この国に力を借りようとしたんだが、それも…
 あいつがいれば簡単に何とかなりそうだと思ってな。まあ、それより更に簡単に済んだけれど。」



「…で、何か聞こう、と。」

「そう言う事。楽勝らくしょ…ん?」




城の入口付近にたくさんの人物…





「…オリフィエル!」



「…!?」





そう、オリフィエルを含めた十人もの集団だった。


「ミカエル…何でこんな所にこんな時に!
 間が悪いって!」


「こんな所に、ってのはこっちの台詞だ、馬鹿!
 失踪しやがって!
 あの鉱山を調査するだけじゃなかったのか!?」


「お前だっていきなり失踪したりするだろうが!
 …色々、用があったんだよ、用が!」




「ミカエル、か。本当に間が悪いな。」


「ああ…!?
 …ラグナロク、レーヴァテイン…」



そこには同じく失踪した者もいた。




「…さて、オリフィエル。
 とにかく聞かせてもらおうか。お前と神剣の関わりについて詳しく…」


「何で神剣をいきなり出してくるのか分からな…」



「いや、そいつらがいる時点で大体予想付くだろう。」


ラファエルが的確に言う。




と、ふと、ガブリエルが思い出したかのように以前見つけた宝石を取り出した。

「…これ、落し物?」



「あ…!
 そ、それ落としてたのか!? 俺は…」



「やっぱり。はい」


ガブリエルはそれを投げ渡した。


「気付かず過ぎる所だった…」





「………よし、今度こそ聞かせてもらうぞ」



「……えー」


オリフィエルではなく、後ろの一人が言った。



「お前誰だ。…まあいい、とにかく…」


「……わざわざ教えるほどの事でもないと思うんだが…」



「なら力づくでも聞きだすぜ!」




ミカエルはいきなりオリフィエルに突撃した!!


「何だって!? 力づくとか勝てる訳ないじゃないか!」


「だから力づくなんだろうが!」




「しょ、しょうがない…やられるのは嫌だし…」


「お、話す気になったか!?」


でもミカエルは攻撃態勢に入っていた。

話す気になっても話す前にやられるかもしれない。




「いや…とりあえずしばらく倒れててもらう事にする」


「…何だと?
 上等だ、やれるもんならやってみやがれ!」




「ミカエルがやりすぎてオリフィエルが死ぬ予感がするんだが…」

「うん…最近あまり力を発揮する場面も無くて力を持て余すとかも言ってたから…
 回復の準備をしておかないと…」



さらりと言ってくれる。




……しかし、ミカエルはその瞬間何か強大なエネルギーの集束を感じていた





「…何だ?」


それは、先程返された虹色の宝石に集まっているのが分かった。






「…?」


「…何かすごい集まってる」

オリフィエルはボソリと言った。


「…はあ? お前、何言って…」




「…いくらミカエルでも、な。
 …まあ、人は皆誰でも秘密を一つでも持ってるって事で…察してくれ!」








「な、何だ!?」


「剣…?
 でも…エネルギーで構成されている…」





「何だそれ!?
 一体何なんだ!?」


オリフィエルは、虹色に輝く剣を持っていた。

その中央部には虹色に輝く宝石…




「…ミカエル。この宝石は、「ブレイド・コア」、と言って…
 …要するに奥の手だ」


「お、奥の手だと…?
 その宝石が…!?」



ミカエルは立ち止まった。


本能でこれがやばい事を感じ取り、空間の力で前方に裂け目を作って防御体制を整えた。




「…オリフィエルの奴、説明が面倒で「奥の手」だけで済ませたんじゃないだろうか」

「多分…」


ラファエルとガブリエルは無駄に冷静に分析していた。





「な、何だよ! 面倒でもいいじゃないか!
 なら説明するけど…これは簡単に言うと…「全属性を操る神剣」とでも言うか?」



「全属性…神剣だと!?」



「今から見せてやる! 必殺の一撃を!!」








スノークリア城 医務室……

「う、うーん…ん?」



ミカエルはそんな所で目を覚ます羽目になった。


「う…いてて…見せてやるって…必殺の一撃って…
 全く覚えてない…剣振られて…おかしいな、防御したはずなんだが…」


自分がやられたのだけは確かだったのだが…。

「オリフィエルにやられるとか…有り得ない。
 …奥の手…「ブレイド・コア」、ねぇ…」



「起きた?」


「あ、ガブリエル。
 ああ。全身が凄まじく痛くて、喋るのも苦痛だが別に支障ない。

いや、それは支障ある。


「そう。大丈夫でよかった…」

だが納得された。問題無いらしい。




「…とりあえず色々聞かないとな…力づくは失敗したが…これで確定、
 絶対に何かある。あの宝石…それにあいつ自身。」