第80話 天使の伝える事


センクレイスで色々起きている時。

ある場所にて…そこは森なのだが…天使言語の本の解読を続けていたフリーズ。




しかしさすがに限界がある。

彼の力で完全な解読は不可能だった。


「もう解読できそうな所が無いな……ん?」


彼の手に何かが落ちてきた。

それは水滴である。



「くっ、雨か…こんな時に。
 クラウソナス、雨宿り出来そうな所を探すぞ…」



「ん?」

「お前…寝ていたのか」





彼等はとにかく雨宿り出来そうな所を探した。

時期が時期だったようで、木の下で雨宿りは出来そうに無かった。



と…


「フリーズ! 小屋があるぞ!」


「こんな森の奥に小屋だと?
 さぞ変な奴が住んでいる予感がするな」


「大丈夫だろ!」




クラウソナスはすぐに小屋の近くに行った。

「すみませーん、誰かいますかー」



すると小屋の中から声が聞こえてきた。


「誰だ…」


「(うっ…何か凄まじく嫌な予感がした…き、気のせいだよな…?)
 雨宿りの出来る所を探していたのですが…」


覚束ない敬語。敬語…?




「確かに、相当な雨だ…」

扉が開く。



「…!?」


出てきたのは、やけに鋭い目つきをした男だった。

少し…怖い。


「(…こ、怖…)」


「(…危険な相手か?)」




「…何故身構えた? まあいい…
 風邪はひきたくないだろう、入れ」


「え? あ、ありがとうございますですます」

「(クラウソナス…焦りすぎだ)」




フリーズとクラウソナスは雨宿りさせてもらえた。



「…この小屋、色々な資料が置いてあるな」


フリーズは小屋の中を見て言う。

外見は古い作りの小屋だが、中には様々な機械が置いてあった。

それに、地質か何かの資料が散乱している。



「少し散らかっているが…構わないか?」

「こっちは雨宿りさせてもらう側だ…文句の一つも言う権利は無い」


「そうか。失礼…ん?」


その男はフリーズの持っている本を見た。


「……?」

「その本…天使言語で書かれているな」


「…あんた、分かるのか?」


男は、薄い笑みを浮かべ話す。

「…俺は、しがない調査者さ…そして俺の仲間には天使言語を読める奴がいる」


「何…!?
 この言語を読めると言う事は…そいつも天使か…!?」


「いや…単に記憶力がいいだけの奴だ。
 いつの間にか知識を身につけていただけだ…お前達は読めるか?}


フリーズは溜め息を吐きつつ首を横に振った。


「なるほど、読めないか…それを解読しようとしていたという事か。」





クラウソナスは天使言語はさっぱりなので話をそこまで聞いていない。


その内、男は言った。

「…雨宿りさせる代わりと言っては難だが、その本を少し貸してもらえないだろうか。」


「…物好きだな。別に構わないが…又貸しになってしまうがな」

「安心しろ…雨が止むまでには返す」

男は本を借りると奥の部屋に行った。





「お、おい。フリーズ…?」


「もしかしたら、内容が聞けるかも知れない。チャンスだ」





しばらく経つと、雨は弱まり始めた。

それまで、クラウソナスはぼーっとしていた。一方、フリーズは周りに落ちている資料を拾って読んでみた。



「…この地図、この世界の物じゃない…あの世界の地図だ」


「ん? あの世界って?」

「…あっちさ。よく行くだろう?」

あの世界…まあ、大体分かるはず。


「なるほど? って、何でそんな地図が?」


「さあな。さっきの男も行った事があるんだろう…」


と、その時入口が開いた。



「おーい! 調べてき…だ、誰だお前ら!?」

まだ若そうな青年が入ってきた。さっきの男とは少し年齢が離れているようだ。



「雨宿りをさせていただいている」

「ですます」

「(…挙動不審め)」




青年はすぐに警戒を解いた。

「雨宿り? そうだな、雨降ってたな…まあこっちは別に構わないけどな。」


そこで奥の扉も開いた。


「…戻ってきたか、ブレイダー…」

「お、レジスト。何やってたんだ?」



男…レジストは、青年…ブレイダーに言った。


「…天使言語だ。読め」


「はあ?」



「…あのブレイダーという奴が、天使言語を読めるようだな…」

「天使言語意味不明」



クラウソナスはぼやいた。






数十分後…雨が止んだ。


「よし、解読出来たぜ!
 言われたとおり全訳もしたぜ?」


「なっ…あれを全訳だと?」


「おいおいクールそうなお前。
 俺にかかれば天使言語の解読なんて楽勝だぜ!?」



「(…少しうるさいな…)」


「失礼、この馬鹿のせいで気分を害したか。
 まあ…本は返す。全訳付きでな」



フリーズはそれを受け取った。

少し見てみたが、本当に全部訳されている。

意外と綺麗な字で書かれていた。



そこで思った。


何故この厚さの本の全訳をこれだけの時間で書けたのか。




「…まあ、そういう事が出来る奴もいると言う事か」

それだけで済ませた。



「にしても、すごい内容が書いてあったぜ。
 世界が滅びるとか何とか」


「何だと?」


「予言みたいな物が書いてあったぜ。
 大いなる力を持った五人とか、時空の敵とか。まあきっと物語なんじゃね…」


「大いなる力を持った五人…それに、時空の敵!?
 大いなる力…グランド・フォース…確か五人だった…!」


「お、おいフリーズ!
 これって本当に予言書って事か!?」


クラウソナス挙動不審。

対してフリーズは少し驚いたが冷静に考え始めた。


「ミカエル達は、この本を読んだりしたのか? それとも内容を単に忘れたのか?
 さて、誰に知らせるべきか…この本の内容は重大そうだ…」

「誰かに知らせるって、天使達とかスライサー辺りか!? それぐらいしか…」




「…スライサー? なるほど、お前達はあいつの仲間か」


「…知っているのか?」


「…この俺…レジストと、こいつ…ブレイダーは、あいつのちょっとした仲間さ。
 会ったらよろしく言っておいてくれ」


「レジストと、ブレイダーか。
 分かった。雨宿りの礼として、言っておく」




フリーズとクラウソナスは小屋を出た。

一同がいそうな場所と言えば…センクレイス。

二人が出発した後、小屋の二人はこんな会話をしていた。




「…全く、スライサーの仲間と言うのは変わった奴等が多いようだ」

「へえ、そうなのか? お前、この前スライサーに少し紹介してもらったんだろう? 仲間を。」


「ああ。ライトとか言う奴と…スピアって奴をな。後者は三段コンボの餌食にしてやった」

「おいおい。
 …ところであの本、スライサーの字と似ていたぜ?」

「いても不思議じゃないだろう。」


「いやあ、読みやすかったな。」









フリーズとクラウソナスはセンクレイス城へと向かった。


彼等は走りながら本の訳を読んでいた。その内、走る速度は上がってきた。




「…永遠の世界は危機に陥る? ここに書かれているのは…現在の時間!?
 ただの本ならともかく…怪しすぎる…!」