「時間が経つにつれ、離れるに離れられない… 最初はすぐに戻るつもりだったと言うのに…」 STORY 1-1 今、時は年の終わり。 スライサーはまた溜息を吐いた。 もう数ヶ月前には「元の世界」に戻っているはずだったのだが。 そう、せめて先月には戻れるはずだったのだ。 レジストやブレイダー、セレスタ及びその弟エルバース、それにスティーラ。 ゼクティス以外は元々「元の世界」の出身だった。 ゼクティスは土地に対する執着心は大して持ち合わせていないらしいため、 この世界の調査が一段落ついた所で全員で「元の世界」に戻ろうと(行こうと)した。 スライサーはかつてこの「異世界」に降り立った場所に来た。 当然、そこから「元の世界」に戻る事が出来る。 はずだった。 「おかしい、この辺りのはずだったが」 周りを見渡してもそれらしき物は無かった。 あの扉が無い。 元の世界…「永遠の世界」では、世界間を繋ぐ場所をそのまま「ワールド・ゲート」と呼んだ。 揺らぎ…酷く空間が不安定になっている場所が全ての世界には存在するという。 その不安定な場所に入ると、異世界へと飛ばされたりしてしまう。 普段ならば、ほぼランダムで飛ばされてしまうらしいが、 「ワールド・ゲート」と呼ばれている所は相互で固定されている。 「空間の揺らぎ」が重なった場合に起きるという。 世界の距離は物理的に測れるものでは無いが、全ての世界は他の世界と隣接しているという。 すると、稀に隣接どころか「重なる」ところが出てくる。 更に偶然が重なり、同時に「揺らぎ」が起こることで「ワールド・ゲート」が出来る。 「のだが…」 今の説明はレジストが息継ぎせずに言った言葉である。 その説明にゼクティスは頭を抱えた。 「誰か分かるように説明してくれ…」 「「超常現象」」 ブレイダーとエルバースが全く同じ言葉で説明した。 で。「元の世界」に戻るための「ワールド・ゲート」が無いと言う事は? 「…帰れなくなった」 スライサーは愕然とした。 まさかこんな事になるとは。 この間に「元の世界」で何か起きていたりしないだろうか? あの世界は頻繁に何かが起こる世界である。 とにかく何とかしなければ。 もしかしたら、他の場所にもう一つあったりしないだろうか? それを調べるために、満足できるぐらいした調査活動を再び始めることとなった。 そして何も見つからず年の終わりとなった。