『親愛なるソルへ 元気でやっているだろうか。 俺がいなくてもお前もブルームーンも他も無事だろうか。 俺は今、異世界で元気にやって…』 「スライサー、調査には行かないのか」 「スライサー、日差しが暖かいですよ! もっと明るい所に行きましょう!」 「スライサー、姉さんの誘いを断ったらどうなるか分かってるよね?」 「スライサー、確か今日は予定があったはずだぜ? 数ヶ月前に言ってただろ?」 「スライサー、暇なのをどうにかしてくれ!」 「スライサー、指示を」 「一度に言うな…! 譲り合いの精神を大切にしろ!」 CELESTIAL TERRA STORY 0 スライサーにとって「知識」とは武器の一つ。 だが、興味だけで「武器」になりえない知識を手に入れようとしたら、 いつの間にか抜け出せない状況に陥っていた。 探検隊「セレステラ」… 彼はこのリーダーである。 そして、リーダーである以上いきなり消える訳にはいかない。 元々の世界も結構大変な事になっていたはずだが、あまりそっちに構えない。 「俺はどうすればいいんだ…ソル」 世界のどこにもいない最高の友人の事を想う。 最初はこんなに長い期間留まろうとは思っていなかった。 ひょんなことから出会った多くの「仲間」。 スライサーにとって「仲間」とは何よりも大切にしなければならない物。 スライサーにはある時期までの記憶が無い。 その時期には、彼は当ても無く世界中を彷徨っていた。 記憶の無い彼に残されていた物は、記憶とは違う「知識」 後々、ソルと…「仲間」達と出会い、それを意識し… 自分も「仲間」を傷つけまいと… それほどに縛られるなら仲間じゃない 「少し気分転換でもするか…」 「鬼ごっこ?」 セレスタはスライサーの気持ちは全く察する事なく天然に。 「また鬼ごっこか? 俺はそんな年じゃない。 それに、やった所でまた勝つのはレジスト…もしくはスティーラ」 良識派であるはずのレジスト。 そして、加入はつい最近である、スティーラ。種族はアブソル。 (尚…関係無いが…もう一体最近加入した、セレスタの弟だと言うエルバース。種族は姉と同じ。) 様々なレクリエーション(はっきり言えば「遊び」)をしようと、その二人(二匹)はずば抜けていた。 その鬼ごっこ…逃げていたスライサー。 「例え遊びでも全力で勝ちを狙う!」 「スライサー。鬼」 いつの間にか追いつき、そしていつの間にか視界から消えていたスティーラ。 ワンサイドゲーム。 「どうしようもないもの」がこの世にあると言う事を思い知らせてくれる。 スライサーは近くの森の中を一人歩いていた。 綺麗な空気が疲れた体と心を癒してくれる。 この生活における最大の娯楽と言える。 セレスタの天然も時々癒しだが。 そしてブレイダーの天然…あっちはただのバカである。 ゼクティス…熱い。物理的に、である。 スライサーは熱いのは好きでは無い。 だというのに種族の関係上基本的にずっと熱いため、 せめて少しでも熱くなる物は避けたかった。出来れば走ることなども。 もはやスライサーはまともな思考を出来ていなかった。 もうすっかり平和なこの世界に慣れ過ぎてしまったか。 ほどよく殺伐としていた頃が懐かしい。いや、そんな時代も無かったか。 ほどなく、心地よい自然の中で眠気に誘われた。 ああ、かつてこれほどまでにのんびりした事があっただろうか。 出来る事ならいっそ、ずっとこのままで… そう思いながらも…少し時が経てばふと目を醒まし、帰路につく。 まあ、結局しばらくはどのような意味でも、喧噪からは抜けられないのだろう。 彼の運命とは、そういうものだから。